女子サッカー・WEリーグ、INAC神戸レオネッサの朴康造(パク・カンジョ)監督が、10日放送のラジオ番組『カンピオーネ!レオネッサ!!』(ラジオ関西)に電話出演。トップカテゴリーでの監督挑戦の思いや、2連覇を目指すクラブを指揮する意気込み、現役時代の秘話などを語った。
番組では、ヴィッセル神戸時代のチームメイトで、当時から親交の深い近藤岳登(『カンピオーネ!レオネッサ!!』パーソナリティー)と電話越しで対談した、朴監督。2人はJリーガー時代や普段の付き合いではサッカーの話をほとんどしないそうだが、ラジオのなかではチームの現状や、指揮官が志向するサッカースタイルなど、20分以上にもおよぶほど白熱したサッカートークを展開していた。
そのなかで、近藤から「監督業って、シンプルに楽しいんですか」と問われた朴監督は、「勝ち負けがかかるので、そこは大変な部分。また、毎日トレーニング(メニュー)などを決めていかないといけないので、どういうトレーニングするか、ガチで決めている」とトップカテゴリー現場トップの日常を明かす。
現役時代は、クールに、淡々と自らの役割をこなし続けていた姿が印象的だった、朴監督。それでも、勝ち負けに対する思いは、選手のときと同じく、「普通の生活のなかにはない『ウォー!』みたいなものはある」と独特の表現でその熱量をコメント。指導者になってもサッカーの醍醐味を感じているようだ。
「試合中もカンジョさんが映るたびに、どういう感じでパフォーマンスというか、身振り手振りをやっているんだろうと思っていたんですが、ずーっと手を組んで、いろんなとこ見てるみたいな感じ」という近藤は、「大きい声とか出すんですか? どんなことを言うんですか? カンジョさんの大きい声って、僕は聞いたことがないです」と、試合で采配を振るう様子が気になるよう。これに対して朴監督が「『行けー!行けー!』って言います(笑)」と明かすと、番組パーソナリティー陣は爆笑。
近藤は、「カンジョさんが大きい声を出したのは、かつて、ポポという選手と、まじで胸ぐらつかみあいになったときくらい」と、2010年の秘話を持ち出して、その異例さを吐露。朴監督も「けんかになったんやけど、僕も調子になっていった分、こぶしをさげれないなか、みんなが止めてくれて、『ありがとう』っていう思いだった。絶対けんかしたら勝てないだろうと思ってたから……(笑)」と当時のことを振り返っていた。ちなみにそのシーズン、ヴィッセルは奇跡のJ1残留を果たしたことでも知られる。「残留争いでみんながピリついていたとき、いい加減なことをしたからって、カンジョさんが言ってくれた。僕は間違いなくカンジョさんが正しいと思っていた。それでも、頑張って殴り合いにはさせませんでした、耐えました(笑)」(近藤)。
話題は現在の話に戻り、指揮官としてどんなことを試合前などに話すのかと問われた朴監督は、「基本的には『受けるサッカー』をしたくないので、行くタイミングと、どのタイミングでプレスをかけてファーストディフェンスに行くとか、連動していこうとか、シンプルなこと。あとはビルドアップでどこを狙って行こうとかを話す」と説明。現役時代はハードプレスが持ち味の1つだった朴監督は、球際での強さや「ボールを取られた瞬間に取り返そうというのはずっと言っている」と、自らの色を早速、選手たちにも伝えている。
ただし、「(ピッチでは)自分が思っていることと違うことが起きるから。そこでどういった指示を出すかは、めっちゃ考える」「選手時代に思っている自分の感覚と、たぶんいまINACの選手が思っている感覚って違うから、そこが難しい」と、現役時代とは違う、指導者としての本音も語る朴監督。「こういうサッカーをしましょうという大枠は伝えつつ、ある程度選手に任せている部分も大きい」と、現状の指揮についてコメントする。