2025年大阪・関西万博を運営する日本国際博覧会協会は17日、1日最大の来場者が約20万人以上と予想されることから、会場へのアクセスを円滑にするための「来場者輸送具体方針(アクションプラン)」を公表した。 (※記事中データ画像は今後更新、修正されることがあります)
大阪府・大阪市、兵庫県・神戸市、鉄道、バス、高速道路など交通事業者などでつくる輸送対策協議会が6月に策定したものを、専門家の意見を踏まえて具体化した。
協議会は、予想される来場者約2820万人のうち国内から約9割、海外から約1割と想定。国内来場者のうち約6割が近畿圏内と見込んでいる。
アクションプランでは、 万博会場・夢洲(ゆめしま)が人工島のため、アクセス手段が限られることから、主な輸送プランとして3つのルートを設定した。
3ルートは▼大阪メトロ・中央線、▼JR西日本・ゆめ咲線(桜島線)の鉄道2路線と、▼シャトルバスが通行する高速道路「淀川左岸線(2期・大阪市此花区~大阪市北区)」。JR、メトロを増便する。
メトロ中央線は最も輸送力があり(6両編成・現行ダイヤで1日170便)、万博会場に直接乗り入れができることから、ピーク時に最大5割の増便を見込む(1時間の最大運行本数・16→24本)。JRゆめ咲線は桜島駅からシャトルバス連絡が必要となり、最大3割を増便するとした(同9→12本)。淀川左岸線はJR大阪、新大阪の各駅から乗り換えるシャトルバスのアクセスルートとして定時運行ができるメリットがある。
課題として、万博開催時、メトロ中央線は朝のピークで混雑率(乗車人数を乗車定員で割ったもの)が140%、阪神高速道路の渋滞は大阪港線、東大阪線、池田線で2~9キロが予想される。
会期は6か月間と長く、こうした渋滞や混雑が物流にも影響するほか、万博来場者を運ぶシャトルバスの運行の妨げとなることが懸念される。
さらに会場近隣の住民や企業にとって、通勤・通学をはじめ日常生活に支障が出ないような配慮も必要となる。
こうしたことから、来場者には原則、公共交通機関の利用を呼びかけ、会場の夢洲にはマイカーでの乗り入れは認めない方針。北東にある舞洲(まいしま)、尼崎、堺の会場外駐車場を利用したシャトルバス連絡となる。沿線の企業には時差通勤や在宅勤務、道路のう回利用をうながす。メトロ中央線の混雑率を約120%まで抑える。大阪(伊丹)空港や関西空港、神戸三宮などから直行バスを運行、JR新大阪駅や尼崎駅など9カ所からシャトルバスを出す。輸送規模が比較的小さい海上交通や「空飛ぶクルマ」の活用については今後、検討課題とする。
さらに、道路の交通混雑を緩和するための対策として、TDM(Transportation Demand Management 交通需要マネジメント)を実施、カレンダー形式で繁忙期・通常期・閑散期に分けて呼びかけるという。
TDMは万博開催期間中に市民や経済界の協力を得て、通常の通勤・通学・物流等の社会経済活動に変更を働きかけるもので、①強く呼びかける日、②呼びかける日、③特には呼びかけない日と働きかけの強度を分ける案が挙がっている。