酒林づくりに10年以上関わる、辰馬本家酒造・醸造部の阿部大輔さんは、10月初旬は涼しくて、杉の葉も青々としていたが、中旬に気温が上がって少し茶色に変化したと話す。今年(2022年)の寒暖差は想定外だったという。そして「今年は杉の葉の“しなり”をうまく利用して球体を形取りました。今年の酒は、すっきりとした味わいですが、酒林が茶色に変ってゆくにつれて、この味わいがまろやかに熟成されるのが楽しみです」と期待を寄せた。
新型コロナウイルスの収束も願い、「厄難が“すぎ(杉=過ぎ)”去るように」と付け替えたばかりの酒林。深緑色の杉の葉から癒しの香りが放たれ、灘五郷にも本格的な秋が訪れた。
※BY(Brewery Year)=酒造年度:7月1日から翌6月30日までを1年度の期間とする、日本酒業界の1年の区切り。