家族の命をめぐってじわじわと涙がこみ上げてくるヒューマンファンタジー。映画『天間荘の三姉妹』が10月28日(金)、全国ロードショーされます。
ここは天空と地上の間にある街、三ツ瀬。
海を見下ろす山の上に「天間荘」という老舗旅館があります。天間荘では大女将の天間恵子、若女将・のぞみ、のぞみの妹でイルカのトレーナー・かなえの3人が暮らしています。
この宿へ天涯孤独な少女・小川たまえが、謎の女性・イズコに連れられ向かっていました。
イズコが宿へ行くタクシーの中でたまえに話しかけます。
「天間荘で魂の疲れを癒して、肉体に戻るか、そのまま天界へ旅立つのか決めたらいいわ」
たまえは「あっ、じゃあバイト先に連絡しないと……」とスマホを取り出しますが、画面表示は圏外です。
イズコ「この世界から現世にはアクセスできないわ」
たまえ「この世界……」
実はこの宿は、地上の世界で臨死状態となった人が訪れて、現世に戻るか天国へ行くかを決めるまで過ごす場所なのでした。たまえは、現世で交通事故に遭って臨死状態となっていました。
のぞみ「腹違いの妹なんて、急に言われても」
かなえ「しかも、客としてここに来るなんて」
イズコからの連絡によると、たまえは、大女将の夫でのぞみたちの父親がここを出て行ったあと別の女性との間につくった娘だというのです。
たまえが着きました。
のぞみ「ようこそ」
かなえ「私があなたのお姉ちゃんよ」
たまえ「えぇーーっ!」
天間荘にある“現世録”には、たまえのことがこう書かれています。
〈母親は3歳のときに病死。父親は9歳のときに失踪。養護施設で育ち、定時制高校を卒業。ひとり暮らしをしながらアルバイト生活。飲酒運転のトラックに轢かれ、頭を打ち、意識不明の重体〉