――当時の雑誌はインパクトの強い表現が多いですね(笑)。
【帖佐さん】 雑誌の見出しも強い表現のものが多いです。時代によって規制が変わってきていますが、この時代は「これをすれば痩せる!」など言い切ったものが多いですね。インターネットもないし薬事法の規制も緩いので、やりたい放題です(笑)。
しかし、70年代以前は戦後の名残りもあり貧しい家庭も多く、インチキグッズをはじめとした広告はあまり見かけなかったんです。このような表現が多く見られるというのは、国に活気が戻ってきた証拠ですね。
――気になるインチキグッズは?
【帖佐さん】 1番好きなのは、“身長が伸びる”という売り文句で販売されていた「ぶら下がり健康器」ですね! 重力によって身長は日々縮むだろうし、「そんなにぶら下がったとしても伸びひんやろ!」と思っています。あとは、インチキグッズとして有名な「睡眠学習枕」はまだ見たことがないので、ぜひ見てみたいです!
――インチキグッズの魅力とは?
【帖佐さん】 インチキグッズには、人間の欲望や希望が詰まっています。人間の「こうなりたい」「ああなありたい」という願いを叶えようとするインチキくささ、胡散くささが魅力ですね。人間が持つ、理想を追い求める欲望と「儲けたろ!」という欲望のせめぎ合いは、一生なくならないものだと感じます!
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人間の欲望がこれでもか、と詰まった昭和のインチキグッズ。現在は規制が厳しくなってしまったため、恐らくもう2度と訪れることのない幻のブームとなってしまいました。インチキグッズを見かけた際には、ほどほどに騙されながら楽しんでみてはいかがでしょうか。
(取材・文=弘松メイ)