◆鉄アナ・羽川英樹「行ってきました!」vol.94
神戸と姫路を結ぶ山陽電車。阪神電車とも相互乗り入れしているため、大阪梅田と直通する特急も運行されています。今回は山陽電車の本線のなかで、東播磨地区にあたる「山陽明石」~「高砂」間(21.6キロメートル)の“テツ旅”リポートです。
広大な明石公園を右に見ながら、JRと隣接する「山陽明石」を出発。次はかつて車庫もあった高架駅の「西新町」。この駅の海側には歩行者・自転車専用道「浜の散歩道」の出発点があり、ここから江井島(えいがしま)までの8キロメートルは気持ちのいいシーサイドコースが伸びています。そして、県道718号明石高砂線(旧浜国道)沿いには地元で大人気のうどん店「ふじきち」。太麺に和風カレーだしがしみこむボリューム満点のカツカレーうどんをぜひ。
そして東西400メートルに美しい白砂がひろがる「林崎松江海岸」を過ぎると、次はS特急停車駅の「藤江」。ここには戦前、明石競馬場があり、改築前の駅舎はその馬券売り場を転用したもので、今もその名残を感じとることができます。
「江井ヶ島」にはヤシの木が立ち並ぶ美しい海岸があり、かつて海水浴場として大変にぎわいました。そして、この江井島一帯は神戸の『灘』に対して、『西灘』呼ばれ、かつては多くの酒蔵が存在しました。なかでも代表格は7つの木造蔵をもつ老舗の江井ヶ嶋酒造。ブルワリーでは洋酒も手掛けており、地ウイスキー『あかし』は多くのファンをもっています。そして濃厚辛口なら江戸末期創業の太陽酒造の『たれくち』がおすすめ。たった3人でつくる“木槽(きぶね)搾り”は通に評判です。
明石市の西にある直通特急停車駅「東二見」は車両基地もある山陽電鉄の一大拠点。「西二見」を経て、次の「播磨町」は、町の名をそのまま駅名にしたものです。市ではなく町ながら、播磨町はなんと人口3万人以上を抱えます(令和4年10月31日現在、3万4750人)。町の総面積(9.13平方キロメートル)の約30パーセントが人工島で、播磨臨海工業地帯の中央にあたるここに重化学工業の工場が集結。そのため、多くの従業員もこの播磨町に住んでいます。