――移住を決意するにあたっては、どのようにお考えになっていたのでしょう。
【梨絵さん】 都会よりも自然豊かなところで子育てがしたい、という気持ちは以前からありました。また、自分自身も助産師で、出産の知識もあり、集落でも出産・子育ては十分できるという自信はありました。
――市野々で子育てを経験して、「良かった」と思うことは?
【梨絵さん】 やはり、集落の皆さんが蔵之助の誕生を楽しみにしてくれていたことですね。
お隣さんが「一大ニュースや!」と新聞社に連絡したり、里帰り出産から家に戻った時に、集落の喫茶店が鯉のぼりをナポレオンの凱旋旗に見立てて何本も上げてくれていたり……。まるでお祭り騒ぎでした。蔵之助を抱っこして散歩していると毎回4~5人の人だかりができ、まるでアイドルのようにかわいがってくれて心強いです。
【俊希さん】 村長さん(自治会長の妻・啓子さん)が、蔵之助誕生のときに俳句を一句詠んでくださいました。そのときの作品は今も家に飾ってあります。
――逆に、出産・子育ての中で大変だったことは?
【梨絵さん】 よく聞かれる質問なのですが……じつは、大変だったことは意外にあまり無かったです。妊娠中も体調をあまり崩さず、里帰り出産だったので産後の回復も早かったです。小児科も篠山市内の車で30分もかからないくらいの場所にありますし、買い物もネットショップを利用すれば、家まで配達してもらえるので便利です。近所の人が野菜を届けてくれるのも助かりました。
――普段、どのような日常を送っていらっしゃるのですか。
【梨絵さん】 だいたい6時すぎに起きて、授乳・朝ごはんや離乳食を準備。家庭菜園もしているので畑にいって仕事をしたり、洗濯をしたり……そこからはフリーですね。お昼は、レストランが集落に一軒もないので、98%くらいはおうちでご飯。午後は、夫婦お互いに仕事や育児をしています。
集落をお散歩して、井戸端会議中のおばあちゃん達に蔵之助を抱っこしてもらったり、成長の報告をしたりすることも……。皆さん教育熱心で、「こうするといいよ!」と色々なことを教えてもらっています。