コロナ禍で旅行やテーマパークなど大人数が集まるレジャーに制限が求められる昨今、少人数で楽しめるアウトドアアクティビティに注目が集まっている。
「釣り」もそのひとつ。しかし、釣り人口の増加は業界にとって喜ばしい傾向であると同時に、ゴミを放置するなどのマナー問題にも直面している。
こうした問題を解決しようと試みているのが、フィッシングギアの自社ブランド「オルルド釣具」を展開する『SIB株式会社』(神戸市中央区)だ。代表取締役・澤田健さんに話を聞いた。
父親の影響で4歳のころから釣りを始め、中学生のころに本格的にハマったという澤田さん。ブランド名の“オルルド”は自身のニックネームからきているという。
自身の釣りの腕前も業界内では有名で、和歌山県の白浜で11.8キロ、97センチのハマフエフキ(タマン)を釣り上げたときは世界記録を叩き出した。基本は海釣りで、釣りの醍醐味については「スリル!」と即答するほど自他ともに認める“釣りバカ”である。

『SIB株式会社』の社名はシンプル・イズ・ベストの頭文字からとっている。その名の通り「シンプルに、安く、気軽に買ってもらえる商品」を心がけているそうだが、中にはクスっと笑えるようなものも。
小さなおもりと針で構成されている「ブラクリ」という仕掛けがあるが、オルルド釣具で販売しているブラクリはおもり部分が“うんち”の形なのだ。
「釣り運がアップし、ウンと釣れることを願ったもので、これがかなりのヒット商品。暗闇で発光する夜光性の”バリウム”タイプもあります」(澤田さん)

大物狙いの竿は10万円超えのものもざらだ。その中にあってオルルド釣具の竿はかなりリーズナブルな価格設定をみせる。
ブランド名に、力強いイメージの“ゴリラ”を掛け合わせた「ゴリルド」という名の竿は、2万円弱で販売。先述した11.8キロのハマフエフキもこのシリーズの竿で釣り上げたもの。澤田さんは「大きなクエでも対応できる」と言うが、本来クエを釣るための竿は高いものであれば50万円にもなるという。

話題は「環境問題」へ。同社では“パッケージの種類を絞る”という取り組みで問題にアプローチしている。澤田さんいわく、釣り人のマナーが問われる場面において「ゴミ問題」が中心になることが多々あるという。
「釣具のパッケージが釣り場にポイ捨てされる点に着目し、当社では“再利用可能”なパッケージを採用しています。たとえばクリアファイルの素材でパッケージを作り、商品を取り出したあとは文房具を入れたり書類を入れたりして使うことができます」(澤田さん)
開発のきっかけについて聞くと、
「直観に従い、解決策を考えた結果でいきつきました」(澤田さん)
“メーカーの努力”と“釣り人のモラル向上”。このふたつのポイントが、今後の釣り業界をより盛り上げることに繋がるのではないだろうか。
※ラジオ関西『こうべしんきん三上公也の企業訪問』2022年10月25日放送回より
