現代の中国で自立して働きたい女性をめぐる理不尽を描く、映画『シスター 夏のわかれ道』が11月25日(金)、全国公開されます。重いテーマですが、コミカルな表現を盛り込みながら身近な物語としてつづっています。
映画の舞台は、中国四川省の中心都市・成都です。
アン・ランは看護師として忙しい日々を送っています。彼女は医者を目指していて、北京の大学院へ進学しようと仕事の合間にも猛勉強をしています。
ある日、両親が交通事故で突然亡くなります。彼女の弟だという6歳の男の子・ズーハンと生活することになりました。
アン・ランは高校を出るとすぐに実家を離れ、学費と生活費を稼いでひとりで生きてきました。両親とは疎遠になっていました。彼女が大学生のときに生まれたのがズーハンで、アン・ランは今まで自分に弟がいるのを全く知りませんでした。
アン・ランはズーハンを養子に出すことにします。里親が見つかるまで仕方なく面倒をみるのですが、年が20歳も離れているズーハンに自分の弟だという実感が湧かず戸惑います。
ズーハンは両親が死んだことを理解できず、ワガママばかりです。朝食で「肉まんが食べたい」と言って泣き出し、気に入らない弁当をベッドに撒き散らします。
アン・ランは一人っ子政策のもとで生まれましたが、両親は男の子を望んでいました。父親はアン・ランに厳しく、暴力をふるうこともありました。一方でズーハンは待望の長男として愛情を受けて育ちました。
父方の伯母はアン・ランにこう言います。
「夢なんか捨てて弟を育てなさい」
伯母はアン・ランの父親の妹で、家を継ぐ兄のために自分の進学をあきらめました。こうした経験をもとに「姉なら弟のために我慢すべきだ」と考えています。
アン・ランの暮らしは弟に振り回され、人生計画が狂い始めました。同じ職場にいる恋人は、彼女の様子を見てピントはずれの助けを出して、イライラさせます。アン・ランのストレスは限界です。
こうした中、知人からズーハンの里親候補となる夫婦を紹介されます。裕福そうで物腰が柔らかく、ズーハンを気に入ってくれたようです。
ところが親戚たちはこれを破談にさせようと結託し、姉が幼い弟を養育すべきだ、とアン・ランを責め立てました。