「神戸を舞台にしたのは必然だった」 新海誠監督が神戸市内で会見 映画「すずめの戸締まり」 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

「神戸を舞台にしたのは必然だった」 新海誠監督が神戸市内で会見 映画「すずめの戸締まり」

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 公開から1週間、話題のアニメ映画「すずめの戸締まり」を制作した新海誠監督が兵庫県神戸市内でこのほど会見し、同作に込めた思いや神戸を作品の舞台とした理由などについて話した。

「すずめ……­」は、大ヒットした「君の名は。」「天気の子」に続く同監督の3年ぶりの長編アニメ。震災の記憶を持つ17歳の少女、岩戸鈴芽が、日本各地の廃墟で災いの元となる“扉”を閉める旅を続け、自らも成長していくストーリーだ。封切りされた11日からの興行収入は、前の2作を超える好発進となっている。

新海誠監督
新海誠監督

 同作を思いついたきっかけについて、新海監督は、日本各地で過疎化が進む状況を挙げる。「かつて賑やかだった家に誰もいなくなっていたり、人が少なくなって動物が増えていたり。家を建てる時は地鎮祭をやり、華やかに開いていくのに、まるでそれが嘘だったように町は消えていく。そんな場所を悼む職業があるべきではないかと考え、人がいなくなった場所を巡っていく物語を作りたいと思った」。

『すずめの戸締まり』Ⓒ2022「すずめの戸締まり」製作委員会
『すずめの戸締まり』Ⓒ2022「すずめの戸締まり」製作委員会

 物語を考え始めたのは2020年の1月から。企画書は同年4月、コロナ感染拡大による緊急事態宣言が出されている最中に「この映画が幸運にも完成したとして、­それが公開される世界がどのようなものか、今の時点では文字通りまったく想像出来ない」(「企画書前文」より)と思いながら書いた。

 過去2作と同様、今作も震災をテーマとしている。新海監督は、2011年に発生した東日本大震災で「自分が書き換えられてしまった」との感覚を持つ。「自分の住んでいる場所が明日にもなくなるかもしれないという無常観が、心の土台にインストールされてしまった。それは僕だけではなく、多くの日本人がそうだったのではないか」。

 一方で、コロナ禍という新しい災害が起きたことで、「1つ前に僕たちが経験した恐ろしい災害(東日本大震災)が過去のものになってしまうという焦りのような気持ちがあった」と振り返る。移動が制限された時期に感じた閉塞感を“閉じ込められた”主要キャラクターに重ねた。

『すずめの戸締まり』Ⓒ2022「すずめの戸締まり」製作委員会
『すずめの戸締まり』Ⓒ2022「すずめの戸締まり」製作委員会
『すずめの戸締まり』Ⓒ2022「すずめの戸締まり」製作委員会
『すずめの戸締まり』Ⓒ2022「すずめの戸締まり」製作委員会

 旅の中で鈴芽は、親切な女性に助けられ、女性が住む神戸に立ち寄る。物語の舞台の1つに神戸を選んだ理由について、新海監督は「(鈴芽が暮らしていた)九州をスタートして東に向かっていく話にしようと考えていたので、ルート上、神戸の登場は必然だった」と説明。その上で、「旅ですれ違った温かい思い出が鈴芽の心に残るシーンが必要だった。それを神戸の地で描いた」と明かす。監督自身、「(神戸の人は)言葉がゆったりしていて、怒っていても心配してくれるような響きがある」と感じているという。実際に三宮の商店街や摩耶ロープウェーに足を運び取材、作品に反映させた。

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