SNSには車やバイクなど、愛車の写真が多数投稿されています。そのほとんどが、スタンプやモザイクなどでナンバープレートを隠す配慮がされています。このように、ナンバープレートの数字は「知られてはいけないもの」だと、なんとなく認識していませんか? 実際に世の不特定多数に知られてしまったら、いったいどのような問題があるのでしょうか?
ナンバープレート公開の“リスク”については国土交通省自動車情報課、“法的観点”については『かなえ法律事務所』(神戸市中央区)の森本圭典弁護士にそれぞれ話を聞きました。
そもそも、ナンバープレートの番号から個人情報が漏れる可能性はあるのでしょうか?
国交省によると、道路運送車両法が改正される2006年以前は「ナンバープレート番号」と「発行理由」があればその車の所有者以外であっても「登録事項等証明書」を交付請求できたとのこと。この「登録事項等証明書」には車所有者の住所などの記載もあるため、過去は「ナンバープレートから個人情報を得ることができた」と言えます。
しかし、個人情報保護法の施行による国民の意識の高まりや、電子化が進み交付請求が比較的容易になったことから、交付請求方法が2006年に変更されました。現在では登録事項等証明書を交付請求するには原則本人であることに加え「ナンバープレートの番号」「車台番号」「運転免許証など本人確認ができる証明証」「請求理由の明示」が必要となり、他人にナンバーを知られた程度では個人情報は漏洩しないそう。
とはいえ、ナンバープレートの番号を不特定多数の人に知られることにリスクは無いのでしょうか?
国交省いわく「地域の絞り込みはされるでしょうが、何か個人を特定するような情報を知られてしまう……というリスクはほとんど無いと考えます」とのこと。SNSで写真を投稿する際にナンバーを隠すなどの画像加工についても「そこまで気にする必要はない」と言っていました。
では、もし他人のナンバープレートが写った写真や動画をSNS上にアップしてしまったとして、その車輌の持ち主から訴えられる可能性はあるのでしょうか?
『かなえ法律事務所』(神戸市中央区)の森本圭典弁護士は、「肖像権」や「プライバシー権」といった“権利の侵害”にあたるどうかが判断の基準になるとのこと。「肖像権」とは無断で写真を撮られたり公開させることのない権利、「プライバシー権」とはみだりに個人情報を公開されない権利です。
「車のナンバープレートだけが写っているような場合、車の持ち主からすると気分が良いものではありませんが、法的には特に問題ないと思われます。ナンバープレートだけでは、所有者や所有者の住所を知ることはできないため、プライバシー権を侵害したとは言えないでしょう」(森本弁護士)
車のナンバープレートだけでなく、運転者も写っているような場合は?
「運転者を無断で写真撮影・公開しているので、運転者の“肖像権”の侵害にあたります。また運転者からすると自身が保有している車を無断で公開されているので、“プライバシー権”を侵害する可能性があります」(森本弁護士)
自宅に止めてある車輌を無断で撮影し投稿したら?
「その場合、表札が写り込んだり建物自体から車輌の所有者がわかる可能性があるため“プライバシー権”の侵害をしていると考えられます。とはいえ、たとえナンバープレートだけでも、無断撮影したものをネット上に投稿することはトラブルに繋がりやすいため、必ず持ち主の方に承諾をとって下さい」(森本弁護士)