音やセリフがなくても長年愛される「無声映画」 主演役者が監督をつとめる新作2作品を紹介 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

音やセリフがなくても長年愛される「無声映画」 主演役者が監督をつとめる新作2作品を紹介

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「無声映画」をご存じでしょうか?「サイレント映画」とも呼ばれ、音声・音響・役者のセリフなどが入っていない映画のことを指します。なかには、漠然と「古い映画」「白黒」というワードが思い浮かぶ人もいるかもしれません。

 19世紀の終わり、撮影技術の発明で人の動きが記録されるようになり、次第にストーリー性があるものへと進化していきました。人々は写真が動くことに驚き「活動写真」という名前が付けられました。アメリカやヨーロッパでは、ピアノやオーケストラの伴奏で上映され、日本ではストーリーテラーであり登場人物の声を担当する活動写真弁士が誕生し、和楽器や管楽器とともに上映されました。

 無声映画時代の代表的スターと言えば、山高帽とステッキがトレードマークのチャップリンや、ロイド眼鏡が大流行したハロルド・ロイド、無表情でおそるべき身体能力を発揮したバスター・キートン。三大喜劇王と呼ばれ、今も世界各地で上映されています。

 今回は話題になっている「新作無声映画」2作品について紹介します。

 まずは、すでに各地で公開がはじまっている「NOBODY KNOWS チャーリー・バワーズ発明中毒篇」。生まれは1889年頃(諸説あり)と謎めいているチャーリー・バワーズは、1910年代初頭から新聞漫画家を経てカートゥーンのアニメーターとなり、1926年に短編無声映画の制作をスタート。自ら演じる実写のスラップスティックとストップモーションアニメを融合させた独自の作品を生み出し、1930年まで20本の新奇な作品を製作しました。

 しかし、チャップリンと同時期に作られたこの100年前の作品が、どうして新作無声映画なのでしょうか。

 チャーリー・バワーズが1946年に世を去った後、新たな映画が次々と誕生。チャーリーの作品は人々の記憶から失われてしました。しかし、1960年代にフランスでフィルムが発見されたことを皮切りに世界各地で発掘が始まり、21世紀に入るとデジタル修復が行われ、その作品に魅せられた神戸映画資料館が劇場公開を構想。

「たまご割れすぎ問題」「全自動レストラン」「ほらふき倶楽部」「怪人現る」といった邦題がつけられ、塩屋楽団+Sollaの音楽にのって息を吹き返し、全国公開の運びとなりました。発明家の顔を持つチャーリー・バワーズの作品には、時代を先取りしすぎた大規模な機械が次々に登場し、不器用な動きを見せるほか、ともすればキモかわいい登場キャラクターは斬新とも言えます。

次々にユニークな発明品が登場する「NOBODY KNOWSチャーリー・バワーズ発明中毒篇」(c)Planet Film Preservation Network, All rights reserved.
次々にユニークな発明品が登場する「NOBODY KNOWSチャーリー・バワーズ発明中毒篇」(c)Planet Film Preservation Network, All rights reserved.

 公開を記念して、神戸映画資料館では11月23日(水・祝)、<パワーズと「愉快」な映画人たち>と題した上映会を開催しました。無声映画をより豊かに鑑賞するために、同時代の無声喜劇映画の名作や関連作品を上映。チャーリー・バワーズの音楽を担当した塩屋楽団、無声映画伴奏ピアニスト天宮遥による伴奏上映とともに、バワーズ再評価の立役者であるクラシック喜劇研究家・いいをじゅんこ氏による作品解説も行われました。

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