神戸で生まれた総合商社「鈴木商店」を題材とした演劇、講演会など開催 2023年春 神戸市と双日が協力 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

神戸で生まれた総合商社「鈴木商店」を題材とした演劇、講演会など開催 2023年春 神戸市と双日が協力

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 明治初期に神戸で創業、日本一の総合商社として一時代を築いた「鈴木商店」の歴史を後世に伝えようと、神戸市と総合商社の双日(東京都)が協力、2023年春、同商店を題材とした演劇や講演会など、さまざまな催しを行う。

鈴木商店を題材とした舞台演劇「彼の男 十字路に身を置かんとす」のポスター(双日提供)
鈴木商店を題材とした舞台演劇「彼の男 十字路に身を置かんとす」のポスター(双日提供)

 鈴木商店は1874(明治7)年、神戸・弁天浜で砂糖引取商としてスタート。女主人、鈴木よねと番頭の金子直吉が事業を拡大させ、1919(大正8)年には、当時のGNPの1割相当の年商に。世界に名だたる日本一の総合商社となったが、金融恐慌などの影響で1927(昭和2)年に経営破綻した。

 破綻はしたものの、同商店を源流とする企業は、双日をはじめ神戸製鋼所、帝人など現在も多数存在。鈴木よねを主人公とした小説「お家さん」(玉岡かおる[加古川市在住]著、新潮社、2010年)や同タイトルのテレビドラマ(天海祐希主演、読売テレビ、2014年)など、その劇的な歴史はたびたび作品化されてきた。

1917(大正6)年、金子直吉がロンドン支店長に宛てた書簡(太陽鉱工所蔵、神戸市立博物館寄託)画像は神戸市提供
1917(大正6)年、金子直吉がロンドン支店長に宛てた書簡(太陽鉱工所蔵、神戸市立博物館寄託)画像は神戸市提供

 今回の催しの目玉となるのは、舞台演劇「彼の男 十字路に身を置かんとす」で、金子直吉の指示を受けた社員が世界中を駆け巡り、次々と事業を立ち上げていくストーリー。双日などが支援して上演する。神戸市は上演に合わせて「神戸港と鈴木商店を語る会」を開催するほか、「鈴木商店ゆかりのまち歩き」、関連の資料、図書の展示なども行う。

1918(大正7)年、日本が建造する船とアメリカの鋼材を交換する契約の成立を記念し、駐日アメリカ大使から贈られた時計。金子直吉が交渉を担当した(太陽鉱工所蔵、神戸市立博物館寄託)画像は神戸市提供
1918(大正7)年、日本が建造する船とアメリカの鋼材を交換する契約の成立を記念し、駐日アメリカ大使から贈られた時計。金子直吉が交渉を担当した(太陽鉱工所蔵、神戸市立博物館寄託)画像は神戸市提供

 双日の藤本昌義社長は「鈴木商店の物語はさまざまな示唆に富み、次世代を担う若者たちに勇気を与える。歴史を知ってもらい、未来に向けて考える種になれば」と期待を寄せる。神戸市の久元喜造市長は「鈴木商店が神戸でビジネスを展開していた時代は、第一次世界大戦やスペイン風邪流行もあり、大きなリスクに挑戦していた時代でもあった。商店を担った人々、当時の神戸経済の姿からも、学ぶべきものがたくさんあると思う」と話した。

1918(大正7)年8月13日 本店焼き討ちを報じる神戸新聞(神戸市提供)
1918(大正7)年8月13日 本店焼き討ちを報じる神戸新聞(神戸市提供)

◆舞台演劇「彼の男 十字路に身を置かんとす」
神戸公演日程:2023年4月20日(木)~23日(日) ※別日程で東京公演あり。
会場:神戸ポートオアシス(神戸市中央区)
主催:ライブアップカプセルズ(村田裕子代表)
チケット:販売は2月頃を予定

◆「神戸港と鈴木商店を語る会」(仮題)
日程:2023年4月22日(土)と23日(日) 演劇上演の合間に開催
会場:神戸ポートオアシス(神戸市中央区)会議室
内容:有識者による基調講演、パネルディスカッションなど

◆「鈴木商店ゆかりのまち歩き」
日程:2023年3月(まち歩きの実施)、4月(まち歩きの報告)
場所:神戸市中央区の旧居留地など
内容:鈴木商店の創業地や本店跡地などを訪ね歩く

◆関連資料、図書の展示
日程:2023年4~5月(詳細未定)
会場:神戸市立博物館、神戸市立三宮図書館
内容:金子直吉の書簡、鈴木よね寄贈本などの展示

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