【藤原弁護士】 営利目的ではなく、入場料をもらわず、ギャラをもらわないなどの要件を満たせば、自由に演奏することができます。また、作者の死後70年で著作権は消滅するため、いわゆる「パブリックドメイン(public domain)」として著作者の利用許可がなくとも使える著作物となります。
最近、YouTubeなどでは「歌ってみた」や「演奏してみた」動画が人気ですよね。最新の話題曲を歌ってアップロードしている人も多いですが、この場合、YouTubeは国内外の有名アーティストの楽曲著作権を管理するJASRAC(一般社団法人日本音楽著作権協会)と年間包括契約を結んでいるため問題になりません。InstagramやTikTokなども同様です。
ただし、権利者には勝手に変えてくれるなという権利もあり、これはJASRACでは管理されていないので、曲を勝手にアレンジしたり、替え歌の動画をアップロードしたりするのは、注意する方がよいでしょう。
――無断転載によって著作権を侵害してしまった場合、どのような制裁があるのでしょうか。
【藤原弁護士】 権利者から差止請求や損害賠償請求を受ける可能性があるほか、刑事罰として懲役刑や罰金刑が定められています。
実は、著作権を侵害してしまっているけれども、権利者の寛容さによって問題になっていないだけというケースもあります。皆さんも、ご自身の演奏などをSNSに投稿する場合は、少なくとも権利者に対するリスペクトを忘れないようにしましょう。
◆藤原唯人(ふじわらただと) 弁護士 神戸パートナーズ法律事務所(神戸市中央区)
京都大学法学部卒業後、2000年に兵庫県弁護士会登録。ジャズピアニストとしても活動中で、神戸のジャズビッグバンド「スガ部」でバンドマスターを務める。そのような経験からクリエイターの権利を守る活動にも積極的に取り組む。