いま、世界中で女性の社会進出がめざましい。日本でもその勢いはどんどん伸びている。とはいえ、女性の社会進出において先進的な他国と比較すると、浸透率が高いとはいえない現実もある。
女性が働きやすい職場を目指す『株式会社クリエイティブ・ラボ』(兵庫県・芦屋市)代表取締役社長・渡辺美佐子さんに「女性が社会に出て働くこと」について、さまざまな話を聞いた。
創業5年目を迎える同社。事業内容は、化粧品の製造、販売、卸売並びに各種デザインの企画及び制作だ。社長の渡辺さんは、他社ブランドの製品を製造するOEMを行う会社に30年勤めていた経験を持つ。キャリアを手放すことにためらいはなかったのだろうか?
「自分の人生について考えたとき、組織の中で働き続けるのではなく“支えてくれた方々”と今後を共に歩んでいきたい!……と考え、早期退職を選択しました」(渡辺さん)
退職後、前職で身につけた自身のノウハウをいかすため起業した。現在、スタッフは全員女性だという。
「女性が社会で貢献することに対してのハードルの高さをずっと感じていました。私自身はなんとか乗り越えてやってきましたが、多くの女性は『働きたい』という気持ちと『働く場所』がマッチングしないことが多々ある。そのギャップを少しでも弊社で埋めることができればと考えています」(渡辺さん)
渡辺さんは、家庭を前提として働く女性の現状にも言及。
「昔に比べて男性も育休を取りやすくなり、女性だけに負担がかからないような流れになってはいます。ですがまだまだ十分とは言えません」(渡辺さん)
具体的にはどのようなことがあるのだろうか?
「例えばお子さんのいる家庭だと、朝昼晩の子どもの食事の用意に加え、人によってはPTA役員とか地域のごみ出し当番など、こまごまとした日々のタスクが山盛りなんです。女性ならではの“やらねばならないこと”が重なり、働きたい気持ちと能力があるにも関わらず、それを押し殺してしまっている方を大勢見てきました」(渡辺さん)
そうした女性に働きやすい環境を提供するというのも会社を立ち上げた目的のひとつだという。
同社の勤務時間は10時〜17時で、出勤日は都合に合わせて選ぶことができる。「学校行事への参加」「親の通院の付き添い」など、理由があれば事前報告することで自由に休みを取得できる。
「繁忙期などは時間延長をお願いすることもありますが、基本的に自由な体制で出勤していただいております」(渡辺さん)
従業員の年齢層も幅広い。前職の定年を終えてなお、働く意欲たっぷりの70代も在籍しているのだとか。