佐藤正午の直木賞作品を実写映画化。それぞれ主役級のキャストが共演しています。映画『月の満ち欠け』が、12月2日(金)に全国公開されます。
主人公は、大企業に勤めるサラリーマン・小山内堅(おさない・つよし)です。妻の梢(こずえ)とは1980年に結婚しました。翌年に娘・瑠璃(るり)が生まれて順風満帆な人生を送っています。
瑠璃が7歳のとき、親に無断で突然いなくなりました。小山内と梢は、どこかで事故に遭ったのか、それとも事件に巻き込まれたのか、と不安を抱きながら必死に探します。警察から連絡があり、瑠璃が見つかりました。瑠璃は東京の高田馬場のレコード店にいました。ひとりで電車に乗って出かけていったようです。店員によると瑠璃はモニター画面で古い映画を観ながらおとなしく過ごしていたそうです。
小山内は、高校を卒業するまではひとりで遠くへ出かけてはいけないよ、と瑠璃を諭しました。
妻の梢は、瑠璃のことを心配し、小山内に訴えます。
「最近の瑠璃は何だか別人になったみたい。髪をかき上げる仕草や歌っている歌が妙に大人びているの。気味が悪いの」
小山内は、「学校で仲のいい友だちの影響を受けているんじゃないか? 気にすることないよ」と梢をなだめました。
月日が流れ、瑠璃は18歳になり高校の卒業式を済ませました。瑠璃は、梢が運転する車で一緒に出かけますが、途中で事故に遭い、ふたりとも命を落としてしまいます。
家族を一度に失って、小山内は会社を辞めました。実家の青森へ戻って漁業の仕事に就いています。
深い悲しみに沈む小山内のもとに、カメラマンの三角(みすみ)という男性が訪ねてきました。
「どちらさまですか」
「突然申し訳ありません」
お線香をあげたいということで、小山内は三角を招き入れます。三角は仏壇の前で手を合わせたあと、小山内に話し始めました。
「おふたりは、僕に会いに来る途中で事故に……」
梢と瑠璃が事故に遭った日、瑠璃は面識のないはずの自分に会いに来ようとしていた、と三角は言いました。
「瑠璃が君に会いに?」
瑠璃は自分が20歳のときに大恋愛をした女性=名前が同じ“瑠璃”=の生まれ変わりだったのではないかと思っている、と三角が言いました。
小山内は怒ります。
「いったい君は何を言いたいんだ」
自分の娘が、いま目の前にいる男の恋人の生まれ変わり? 小山内はそんな話を信じられるわけがありません。
「私の娘は、君が言う女性とは何の関係もないっ」