みなさんは、ファッションのハイブランドがリリースしている腕時計にどのようなイメージを持っているでしょうか? エルメスやルイ・ヴィトン、ティファニーなど……腕時計を専門としていないビッグメゾンによる腕時計は珍しいものではありません。しかしながら、「餅は餅屋」ということわざがあるように、「腕時計は、腕時計を専門としているブランドのものがよい」という意見も散見されます。ファッションハイブランドの腕時計には、どのような歴史や特長があるのでしょうか。登録者数が7万4千人を超える「腕時計YouTuber」であるRYさんが、『やさしい腕時計』(ラジオ関西Podcast)で解説しました。
RYさんが20歳の時、成人の記念としてに初めて購入した腕時計は、イギリスのファッションブランド「ポール・スミス」のクロノグラフだったそうです。RYさんは、「いろいろ調べた結果、“カッコいい”と思って購入しました。(5、6年後にロレックスの)サブマリーナーを購入するまではずっとその時計を付けていましたし、毎日見とれていました」と、当時の思い出を振り返ります。
その上でRYさんは、ファッションブランド、ハイブランドの腕時計について、「私はアリだと思います。時計の魅力を多くの人に発信してくれる非常に重要なツールだと思っていて、時計好きの間口を広げてくれる存在だと思います。どうしても“ブランド料”は加わってしまいますが、そのブランドを持つことの喜びを感じられます」と、腕時計ファンの立場から評します。
RYさんが魅力に感じるブランドとしてまず挙げるのが「シャネル」です。シャネルはバッグやアクセサリーなどの装飾品をはじめ、香水などもトップクラスの知名度を誇るハイブランドですが、腕時計にも力を入れており、自社製のムーブメントを搭載した機械式腕時計をリリースしています。「腕時計の歴史は長くないですが、かなりの本格派です。2000年に発表された『J12』はスポーティーなダイバーズウォッチで、機能はもちろん、シャネルの世界観そのままのオールホワイトのモデル、オールブラック、また、コンビモデルもありカッコいいですよね」とRYさん。芸能人にも愛用者の多いシャネル『J12』の価格は新品で90万円程度から。中古であれば、30万円前後から見つけることができるようです。
次にRYさんが紹介するのが「ブルガリ」です。ジュエリーや革小物、香水が有名なイタリアのハイブランドですが、腕時計界でも高い評価を受けています。RYさんは、「最初の腕時計を発表したのは1970年代後半と、歴史は比較的浅い方ですが、世界有数の時計の記録をいくつも塗り替えているほど高い技術を持ちながら、独特な感性を持ち合わせていて、非常におしゃれですよね」と話します。
特に、『オクト』はブルガリの渾身作であり、とても機械式とは思えないような超薄型ケースが特徴です。中でも、『オクト フィニッシモウルトラ』の厚さは、わずか1.80ミリ。これは世界最薄の記録を樹立しました。RYさんは、ブルガリの腕時計を「参入は遅くても、薄さの追求などファッション的な面を強調することで、腕時計界の中でも立ち位置を得ました」と評価します。ちなみに『オクト』のベーシックなモデルは80万円台から買えますが、『フィニッシモウルトラ』は5,200万円以上と、大きな価格差があることも特徴です。