全国の家庭裁判所で重大な少年事件の記録が廃棄されていた問題で、最高裁は20日、神戸市で1997年に起きた神戸連続児童殺傷事件で次男の土師淳君(当時11歳)を亡くした父親・守さんから、対面で意見聴取することを決めた。時期は2023年1月~2月を予定している。遺族としての心情などについて聞き取るという。
守さんは12月1日付けで、記録保存のあり方を検証するため、意見を聞くよう求める要望書を有識者委員会に提出していた。記録廃棄によって被害者遺族が受けた精神的苦痛の聞き取りと、記録の永久保存を求めていた。
最高裁の内部規定では、少年事件の記録を、少年が26歳になるまで保存するとしているが、史料的価値の高い記録や社会的影響が大きかった事件の記録などは、26歳以降も「特別保存」として事実上、永久保存するよう規定している。しかし2022年10月以降、神戸市の事件をはじめ全国各地で重大少年事件の記録廃棄が判明しており、最高裁が設置した有識者委員会で今後の記録保存の在り方の検証が始まった。
神戸家裁は連続児童殺傷事件の全記録を2011年2月28日に廃棄したとしている。最高裁は11月、神戸家裁の当時の職員から廃棄に至った経緯などを聴取した。
最高裁は全国56家裁・支部の少年事件52件について、廃棄された経緯や原因などを個別調査すると発表。2023年4月をめどに報告書をまとめ、調査結果を公表する。
守さんは意見聴取の決定を受け「一歩前進したと思う。遺族の思いを生かしてほしい。できれば調査結果の公表を望みたい」と話した。