近年、「産前産後ケア」の必要性を訴える声が日本国内でも高まっている。芸能人のSNSで経験談などを目にするようにもなった。しかし、認知度が上がってきているとはいえ、まだまだ一般的ではないのが実情だ。
このたび、吉本興業のお笑いコンビ「紅しょうが」(稲田美紀・熊元プロレス)が火曜パーソナリティを務める番組『Clip』(ラジオ関西、月-木午後2時30分~)に、産前産後のサポートを行う宿泊施設の担当者が出演。女性はもちろん男性にも知ってほしい、女性の産前産後の負担や、“お母さん”と家族を支えるための選択肢の一つである産後ケア施設について詳しく聞いた。
女性にとって、もっとも大きなライフイベントのひとつ“出産”。しかし、日本では妊娠や出産・育児などの負担を母親一人で抱えるケースも少なくない。しかも、その常識は地域や年代によっても異なるため、正しい情報かどうか判断する基準に悩み、不安を抱えたまま出産や育児に向き合っている女性も多い現実があると、番組に出演した「産前産後ケアホテル ぶどうの木 京都院」の齋藤樹奈さんは語る。
「交通事故と同じくらいのダメージを受けている」とも言われ、急激な環境の変化にメンタルに不調をきたしやすくなることもあるという、出産後の女性の心身。近年アジア諸国やヨーロッパなどの海外では、そんな産前産後の女性の体と心をサポートするケア施設の利用が当たり前になりつつあるとのことだが、日本ではまだ数が限られている。
齋藤さんによると、「産前産後ケアホテル」と一般的なホテルとの最大の違いは、通常のホテルにいるようなコンシェルジュと併せて、医学的な知識を持った産前産後のエキスパートが常駐する点。たとえば、助産師が複数常駐し、産前産後の食事や生活、授乳・育児の指など利用者をサポートするのにくわえ、メンタル面の支援まで行う施設もあるという。
また、出産への体力づくりや産後の回復、母乳のために必要な栄養素を考えた食事が提供されることも、産前産後ケアホテルの魅力の一つ。紅しょうが・熊元が「病院みたいな軽い感じのご飯になっちゃいますよね?」とたずねたところ、齋藤さんからは「おいしい、満足感のある食事がしっかり提供されますよ!」との回答も。
こういった、管理栄養士や料理人が考案した具だくさんで味にもこだわった食事は、多くの産前産後ケアホテルで味わうことができるという。同ホテルでは、京都の老舗和菓子店の菓子をおやつとしてメニューに含めたり、クリスマスに特別メニューが企画されたりすることもあるそうだ。
ちなみに、産前産後ケアホテルの多くは、当事者の女性だけでなく、パートナーや家族がいっしょに時間を過ごして宿泊することもできるようになっている。整った環境の中でゆったりと癒されながら、家族みんなで育児に向けての基礎的な知識を学ぶこともできるという。
※ラジオ関西『Clip火曜日』2022年12月20日放送回より