「えーい、ひとーつ」「そーれ!」
大みそかさながらに、僧侶の掛け声とともに鐘楼から荘厳な音が師走の古都に響き渡る。浄土宗総本山・知恩院(京都市東山区)で27日、恒例「除夜の鐘の試し撞き」が行われた。
知恩院の大鐘は1636(寛永13)年に鋳造された。東大寺(奈良市)、方広寺(京都市東山区)とともに「日本三大梵鐘(ぼんしょう)」の一つとされる(選者不明)。
高さ1丈8寸(約3.3メートル)、直径9尺2寸(約2.8メートル)、厚さ9寸5分(約30センチ)、重さ1万8千貫(約70tトン)という国内最大級の大鐘は国の重要文化財。この巨大な鐘には、念仏の故郷らしく「南無阿弥陀仏」の名号と鋳造者の銘だけが記され、鋳造の来歴や鋳造者の功績を記した銘文は見当たらない。
知恩院では、このことを後世の論争や災いを避けるための配慮とされている。
試し撞きは、まず16人の僧侶が長さ約4.5メートル、重さ350キロある巨大な撞木(しゅもく)に取り付けられた子綱を引く。そして鐘の下ではもう1人の僧侶があおむけにぶら下がり、体全体を使って太い親綱を引いて鐘を打ち鳴らすダイナミックさに圧倒される。