――商店街の年末年始は?
【林さん】 昭和の時代は、正月休みという雰囲気はなかったです。もちろん洋服店なんかはお休みでしたが、正月に向けたお買い物客でずいぶん盛り上がっていましたね。お正月の三が日には、ベビーカステラやフランクフルトの屋台が出るんです。子どもたちがお年玉を使って屋台を楽しむ、というのが定番でしたね。
――当時の子どもたちにとって、どのような場所だったのでしょうか?
【林さん】 休日に家族に連れていかれる場所、というのがほとんどだったのではないでしょうか。日用品ばかり売っているので、子どもたちにとってはあまり魅力的ではなかったのかもしれませんね(笑)。
僕はここで生まれ育ったので、商店街のお店の人はみんな、お父さん、お母さんのような存在でした。学校が終わって遊びに行く前にお菓子をくれたりもしました。夜になって人通りが少なくなると、アスファルトにお絵かきをしたり、ゲームを考えたりしてみんなで遊びましたね。
――今後、商店街をどのような場所にしたいですか?
【林さん】 理想を言っているように思われるかもしれないのですが、「物を売る」という商売だけじゃなく、人と人との繋がりをより感じられるような商店街にしていきたいです。コロナ禍なので物理的には難しいですが、よりいっそうコミュニケーションをとることで、お客さんにとって身近なものに感じていただきたいですね。
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天神祭りの神輿や正月の出店など、新型コロナウイルスの拡大以降、中止が続いている多くのイベントですが、現在、来年の開催に向けて調整を行なっているそう。商店街を訪れる際には、お店の方とコミュニケーションをとりながらお買い物を楽しんでみてはいかがでしょうか。
(取材・文=弘松メイ)