阪神・淡路大震災から28年を前に、摩耶埠頭(神戸市灘区)で神戸海上保安部・神戸市消防局などが5日、合同で放水訓練を行った。
神戸海上保安部によると、震災時に同時多発した火災に対応するため、全国から巡視船艇や消防車が被災地・神戸に集結して消火活動を行ったが、当時各機関で保有していた消火用ホースの形状が異なり、円滑な消火対応ができなかった。
神戸市長田区・菅原市場付近の広域にわたる大火災や、阪神間の各地で起きた火災なども、こうした問題がクリアできていれば、鎮火を早めることができた可能性があったという。
これを教訓に、神戸海上保安部や神戸市消防局では、消火ホースをつなぎ合わせる共通の規格を持つ、中間的な継ぎ手の「変換連結金具」が配備された。
訓練は、神戸市を震源とする直下型地震により、内陸部で火災が発生したという想定で行われた。道路網が寸断されて消防車からの放水活動が困難となり、巡視艇から海水を汲み上げて消防車へ給水支援し、警察車両がこれらの活動の導線を確保する、というもの。
参加した各機関では、こうした当時の経緯を知らない若手職員が増加し、震災そのものの風化が懸念されている。