ラジオ局のスタジオでしゃべり手の声をひろうなど、ラジオの音に欠かせない「マイク」(マイクロフォン)。その分類について、普段はラジオを陰で支えている技術スタッフが、ラジオ番組のなかで解説しました。
神戸のラジオ局・ラジオ関西のオンエアスタジオには、ラジオから流れる「声」を収音するマイクが6つ置かれていて、ミキサーのフェーダーを操作すれば、すぐにラジオの音として発信できるようになっています。また、ラジオ関西では生放送用に卓上型マイクを使用し、オンエアスタジオでは三研マイクロホンの「CUS-101B」というマイクが15年以上使われています。
さて、マイク=マイクロフォンとは、空気の振動(音波)を機械振動に変換し、さらにそれを電気信号に変換するための機器のことです。
一般的な分類では、「ダイナミック・マイクロフォン」(ダイナミックマイク)と「コンデンサー・マイクロフォン」(コンデンサーマイク)がよく使われています。
このうち、ダイナミックマイクの構造は、人の耳の鼓膜のような 「ダイヤフラム」と呼ばれる振動板が音波を受けて振動し、それによってその中央に取り付けられたコイル、それを挟むように置かれた磁石が動くことによって音声信号になっています。
ダイナミックマイクの中には、コイルの動きによって発電する「ムービング・コイル型」とアルミニウムなどのリボンを使った「リボン型」があります。よくライブやイベントのステージで見かけるShureの「SM58」というマイクがムービングコイル型になります。
上記のように、マイクの中には音を伝えるためのコイルなどが入っているので、カラオケや会議のときにマイクの頭を叩いたりしてはいけません。
ダイナミックマイクは電源が必要なく、比較的丈夫で、温度や湿度の影響を受けにくく、動作が安定しているという特徴があります。インタビューマイクで有名な「SM63」もそうです。
一方、コンデンサーマイクは、蓄電器の原理を応用したもので、2枚の金属板の間に絶縁体を挟みこんだ構造で、片方がダイアフラムとして振動し、電圧が変化することで音声信号になります。電気を蓄えるため、電池などによる電源が必要です。
コンデンサーマイクは低域から広域まで、広い周波数帯域を収音することができるという特徴があります。コンデンサーマイクを使うときには、マイクに電池を入れたり、ミキサーやマイク・プリアンプ(マイクの音を増幅させるための機器)で「ファンタム電源」を入れる必要があります。コンデンサーマイクは振動や湿気にも弱いので、より繊細な保管や扱い方が必要です。
参考:「PA入門 三訂版 基礎が身に付くPAの教科書」(リットーミュージック)
※ラジオ関西『おしえて!サウンドエンジニア』 2023年1月8日放送回より
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【放送音声】2023年1月8日放送回