奈良にゆかりのある動物といえば「鹿」と答える人も多いなか、じつは「金魚」も有名なことをご存知でしょうか?
県北部に位置する大和郡山市は、国内有数の金魚の養殖地。年間約6000万匹もの金魚が販売されており、金魚すくいを競技化した「全国金魚すくい選手権大会」が開催されるなど、“金魚の聖地”ともいわれ、「奈良県民は金魚すくいが上手い」というウワサも流れるほど。
養殖が盛んになった理由や、県と金魚の関係性について『NARA KINGYO MUSEUM』(奈良市二条大路南)に聞いてみました。
『NARA KINGYO MUSEUM』は、約40種類・3000匹もの金魚を展示する日本初の「常設型アクアリウム」として2018年にオープン。
2021年のリニューアルで敷地面積を約2倍に拡張、フォトスポットやプロジェクションマッピングエリアが追加されるなどパワーアップしました。現在では国内最大級の「金魚エンターテイメントアクアリウム」として知られています。
「奈良が埼玉県・加須や熊本県・長洲に並ぶ『日本三大金魚の産地』ということで、この地で当館をオープンしました」(NARA KINGYO MUSEUM)
日本で金魚が飼われるようになったのは約520年前、室町時代の中頃とされています。中国から持ち込まれた金魚は“珍しいペット”として高貴な身分の人々から愛されました。
奈良県に持ち込まれたのは、江戸時代の中頃のこと。大和国郡山藩の初代藩主をつとめた柳澤吉里が、甲斐藩(現在の山梨県にあたる)から入国した際に金魚職人を連れてきたことがきっかけだったそうです。さらに幕末に入ると、禄(収入)が減った武士や農民の副業として、金魚の養殖が盛んになっていったそう。