1995年の阪神・淡路大震災(兵庫県南部地震)から丸28年を迎えた17日、神戸をホームとするサッカー・J1のヴィッセル神戸は、トレーニングキャンプを行っている沖縄の地で、MFアンドレス・イニエスタ選手をはじめとする選手やスタッフで黙とうを行った。
ヴィッセルは最初のシーズンとなった1995年、1月17日に最初の練習を行う予定だったが、当日、震災が発生。震災からの復興とともに歩みを進めたクラブでもある。
ヴィッセルに選手、スタッフとして長く携わっている吉田孝行監督(45)は、「クラブにとっては震災の日が、クラブを立ち上げて初めての練習となる始動日で、震災の影響で始動できず、選手もボランティアなどに参加していたということも聞いていますし、クラブにとっても本当に忘れてはいけない日です」とクラブを通じてコメントを発表。
兵庫県川西市出身、神戸の滝川第二高校卒の吉田監督は、「自分は当時、高校3年生でその年からプロに入ることが決まっていました。いつもは滝川第二高校の寮にいるのですが、ちょうど全国高校サッカー選手権が終わって川西市の実家に帰省していて、学校に行く準備をしていました。ちょうど顔を洗っているときで、飛ばされるような揺れで家の中のものが落ちたり、停電にもなって何が起きているか分からないような状況でした。自分にとっても、あのときの揺れの大きさや、感じた恐怖、目にした光景は、一生忘れることはないです。もし次に何か起きたときに自分に何ができるか、何に備えるかが大事になると思います」と、自らの被災体験を思い返しながら、もしものときへの備えの重要性を語った。
そして、「今年は、沖縄でこの日を迎えましたが、1月17日を迎えると神戸、兵庫では追悼について様々な情報を目にしますし、亡くなったかたもたくさんいます。僕らは生きているということの喜びや楽しさを感じないといけないですし、自分たちはサッカーを通して感動を与えられるようなことができればと思っています」と誓うヴィッセルのレジェンドは、「とにかく僕たちは一生懸命にやるだけで、選手、スタッフ、ファン、サポーター、スポンサーなど関係者すべてと団結して戦っている姿を見てもらいたいです」と、節目となる日にクラブを通じて決意を述べた。
また、ヴィッセルのアカデミー育ちで、選手を代表してコメントしたのは、兵庫県尼崎市出身のDF山川哲史選手(25)。「今日で阪神・淡路大震災から28年が経ち、僕はまだその時は生まれていなかったのですが、これまで兵庫県で生まれ育ってきた中で、震災のことはこれまでも受け継がれてきましたし、被災された方の気持ちを、これからも僕たち世代がつないでいく必要があると感じています」という生え抜きDFは、「僕は今、幸せなことにヴィッセル神戸でサッカーをできているので、ヴィッセル神戸の選手として、震災のことを風化させないように伝えていくことが今後も大事だと思います。サッカーを通して、神戸と一緒に、これからも進んでいけるように、僕自身努力したいと思いますし、ヴィッセル神戸のチームとしても、これからもずっと神戸の街とともに歩んでいきたいと思います」と力強い言葉をクラブを通じて語った。