科学ファンは切れない!? 「科学的な正しさと見た目のおもしろさを両立」 バズアイテム『高分子マステ』 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

科学ファンは切れない!? 「科学的な正しさと見た目のおもしろさを両立」 バズアイテム『高分子マステ』

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 ベンゼン環(6個の炭素原子からなる正六角形の分子構造)が描かれたマスキングテープ「高分子マステ」がTwitterを中心としたSNSで話題に。

「好きな結合を切って、お好みの分子量でお使いいただけます。化学を知っていればいるほど切る場所を選んでしまい、好きな長さで切れないといううれしいクレームをいただいております」という紹介文が添えられたツイートはなんと8万「いいね」を獲得し、人気アイテムとなりました。

話題の「高分子マステ」

「高分子マスキングテープ」をつくったのは、科学の博士として研究するかたわら、デザイナーとしても活躍する、ものりさん。注目を集める科学アイテム誕生のきっかけなど、話を聞きました。

――理系アイテムのデザインをはじめたきっかけは?

【ものりさん】 高校生のとき、当初は美術が好きで美術大学を目指していました。しかし、自分より上手な人が現れて「第一線でやるのは無理だな」と落ち込んでいたところ、化学の教科書に載っていた「化学構造式」になぜかデザイン的な魅力を感じ、高校3年生のときに理系へ転学。先生からはすごく怒られました。

 その後、大学院まで進み、材料科学(おもに高分子化学)の研究に携わっていました。しかし、研究所の人たちが研究成果の配分をめぐって争っている様子を目の当たりにし、科学や研究者に希望を持てない白紙の時期を経験しました。

 そんななか、「自分が今やっている科学と昔から好きだった美術を組み合わせたら、彼らよりもっとおもしろいことができるんじゃないか」と思い、理系アイテムを作る小さな活動を始めました。すると、予想外にもインターネット上で人気になったんです。

――これまで販売したアイテムのなかで、特にお気に入りのアイテムは?

【ものりさん】 世の中の解像度を下げる水晶「ピクセルミラー」です。便利に解像度を上げるのではなく、むしろ不便に解像度を下げる石のツールで、アナログとデジタルの真ん中を切り取ったようなところが気に入っています。

 水晶の形状や、職人さんの手による研磨加工など、小さな石のなかにこだわりを詰め込んでいます。現在も研究を続けている作品で、形状を変えたり大型化したりと遊んでいます。

視界の解像度を下げる「ピクセルミラー」

――SNSで話題の「高分子マスキングテープ」ですが、着想のきっかけは?

【ものりさん】 化学構造式が好きだったので、活動の初期からいろいろな化学構造式をバッジにして販売していました。単純にバッジとして身に着けていただけでも「もしかして化学系ですか?」「その化学物質知ってる!」と注目され、購入されたお客様からは科学好きをアピールできたり、会話のきっかけになった、とうれしいコメントをいただいていました。

 そこで、せっかく大学院で高分子の研究をしているのだから、「材料好き」「高分子好き」をアピールできたり、下手したら勉強にもなるようなツールがあっても良いのではと思うようになり、ある日マスキングテープに目が留まりました。

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