大学での学びを生かし、市民の防災意識を高めるために活動する学生団体があります。2014年に結成された神戸学院大学(神戸市中央区)のサークル『防災女子』です。「女子力で災害を乗り切っていこう」をコンセプトに、同大学で防災や社会貢献を専門に学ぶ女子学生で活動しています。伝えるのは、「やってみたくなる防災」です。
構成するメンバーは、全員が阪神・淡路大震災以降生まれ。震災当時のことについては、大学の講義やサークル活動を通して経験者から話を聞く機会も多いとのこと。2022年度のリーダーで現代社会学部社会防災学科4年生の小山田遥さんは、「当時の話を聞くことで、より深く防災について考えることができている」といいます。
防災女子の活動は、イベントへの参加、小中高校への出前授業や防災料理教室など多岐にわたります。2023年度のリーダーで現代社会学部社会防災学科3年生の國松万熙(くにまつまひろ)さんは、「知識を伝えるだけではなく、“実践したい”と思ってもらうことが大切。相手の年齢や考え方に合わせ、伝え方を変えるように心がけている」と話します。軸となるのは、「教訓を風化させない」という強い思いです。
防災女子の皆さんは、生活に役立つ防災情報を発信しています。その中から、今回は「食」にまつわる2つの知識を教えてもらいました。
■備える→食べる→買い足す、のサイクルが重要な「ローリングストック法」
非常時専用の食材(非常食)だけを備蓄するのではなく、普段の生活で使用できる食材を「備える」→「食べる」→「買い足す」のサイクルで備蓄する方法です。好きな食品を少し多めに買ってキッチンに保管すれば、災害時にも日常生活に近い食事ができます。國松さんは、「ちょっとした知識とアイデアが災害時に役立つ。防災を難しくとらえずに、できることからやってほしい」と呼びかけます。
■ごはんにおかず、デザートまで! “ポリ袋“で簡単調理
災害時に電気やガスが止まっても、カセットコンロと鍋、ポリ袋があればあたたかい食事を作ることができます。使用するのは、厚さ0.01ミリ以上、耐熱温度110度以上の高密度ポリエチレン製の袋。防災女子は、さまざまな「ポリ袋調理」レシピも考案しています。