超高齢化社会が進む中、介護を受ける人も増加している。コロナ禍で苦労する部分も多いという介護業界について、『けあさぽーとあんて』を運営する、合同会社あんて(神戸市中央区)の代表・香山景子さんに話を聞いた。
もともと他の事業所に所属し、介護の仕事をしていた香山さん。「自分たちで地域に根差した介護サービスをしていきたい」という思いから、2018年に同志3人で『合同会社あんて』を立ち上げた。“担い手が少ない”、“離職者が多い”と言われがちな介護職だが、同社の場合は少し違うようだ。
「スタッフがあまり退職せず、継続して働いてくれるのが誇りです」(香山さん)
スタッフを規則で縛るわけではなく、一人ひとりに合った働き方ができるように考慮しているそうで、こうしたことが勤務の継続に繋がっているのではないかと話していた。
社名「あんて」の由来について、フランス語やイタリア語から来ているのかと問われることが多いそうだが、香山さんの答えは「NO」だ。
「“安定”という言葉が由来です。『利用者が“安定した”生活を送れるように』『スタッフが常に“安定して”仕事をできるように』といった願いを込めています。利用者は高齢者が多いため、覚えやすく、かつ書きやすいようにひらがな表記にしました」(香山さん)
会社立ち上げ当初は少人数で試行錯誤して頑張ってきたというが、現在では登録者全体を入れると48人ほどのスタッフが活躍している。
「利用者の中には寝たきりの方もいるので、医療と同じで年末年始といえども休業することはできません」(香山さん)
人と接触せずには成り立たない仕事のため、コロナ禍での苦労も多いという。家族から「もうそろそろ辞めたら?」と言われる高齢スタッフもいるそうだ。香山さんは「介護職は家族の理解を得るのが難しい場面もあります」と口にした。
高齢化社会で今後も需要は伸びていくと予想される介護サービス。香山さんは事業を継承していくためにも若い担い手を常に探している。
「スタッフを増やすことが質の高いサービスにつながりますし、やはり若い人にしかできないこともある。欲張らずに真面目にケアしていけば事業所も大きくなるのかな……と考えていますが、新しい風をいれるためには何か策がないかと模索しています」(香山さん)
阪神淡路大震災がきっかけでボランティアとして介護にたずさわり、そこから介護の仕事に就いた香山さん。「人のためにしていることは自分のためにもなります。色々な人と一緒に高齢化が進む日本の社会を少しでも支えられたら」と締めくくった。
※ラジオ関西『こうべしんきん三上公也の企業訪問』2023年1月3日放送回より
◆合同会社あんて・けあさぽーとあんて
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