【小須田さん】 実は当時、ある国会議員の方から「『象がふんでもこわれない』は嘘だろう」というクレームが入りました。それならばということで、その方にカナヅチとアーム筆入を持参し、実際に壊れないか試してもらったんです。
もちろん、結果は壊れなかったです。無事に和解し、丈夫さに感心した議員からPTA協議会による推薦を助言され、PTA推薦文房具となりました。現在、大阪にある私立小学校では学校指定の筆箱として使用いただいていたり、多くの方に愛される商品となっています。
――商品名の由来は?
【小須田さん】 当時盛んだったプロレスが由来です。レスラーが力強く腕を組んで戦う様子が筆入の丈夫さを連想させることから、頑丈な本商品も「アーム筆入」と名付けられました。
――「アーム筆入」の魅力とは?
【小須田さん】 やはり“強さ”ですね。頑丈な素材なため、衝撃にも強いというのが魅力だと思います。また、弊社は「ものを大切に使う」という思いを大切にしながら商品開発をしています。その思いがお客様に伝わり、現在でもロングセラー商品として愛されているのではないかと思います。
――同時期に流行した「スパイ手帳」シリーズとは?
【小須田さん】 当時、世間では映画『007(ダブルオーセブン)』が大流行しました。しかし、大人向けのお話であったため、子どもたちの間ではあまり盛り上がらなかったそうです。映画の流行と同時期に、当時アメリカで大人気だったテレビ番組『スパイ大作戦』が日本でも観られるようになるという情報が入りました。この情報を得た弊社は「子どもたちの間にも“スパイブーム”が来る」と想定して先回りをし、1969年には「スパイ手帳」の開発・販売を行いました。この予想は見事的中し、年間300万個以上もの販売数を記録する商品となりました。