――当時の子どもたちの遊び方は?
【小須田さん】 “スパイごっこ”のアイテムとして使われることが多かったそうです。紙が水に溶ける「スパイ手帳」をはじめ、スパイの証である「団員バッジ」、水に溶ける「ロープ」などでよく遊んでいただきました。それら3つのアイテムがセットで販売されている「スパイ・ザ・パック」は「アーム筆入」と同じように人気の商品だったそうです。その後、「スパイメモ」などのシリーズ商品が販売されるようにもなりました。
――「スパイ手帳」シリーズの魅力は?
【小須田さん】 冒険心をくすぐるところが魅力だと思います。「アーム筆入」と同様に、好奇心をくすぐる「スパイ手帳」は特に男の子たちから人気だったそうです。
また、「スパイ手帳」は近所の文房具屋さんや駄菓子屋さんで購入されることを想定し、1000円以下での販売を絶対条件としていました。「文房具としては高いけど、おもちゃとしては安い」という定義を大切にしながら、“遊べる文房具”として多くのお子様に大切に長く使っていただいた商品でした。
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後に「スパイメモ」は、映画『スパイ大作戦』のDVDコレクションとともにノベルティとして配布。また、当初と変わらぬ強度を誇る「アーム筆入」は、鉛筆ホルダーを取り入れるなどのプッシュアップ機能が導入され、さらに使いやすくなって現在も販売中です。
さらに、同社では現在、削らずに16キロメートルも書き続けられるという鉛筆「metacil(メタシル)」が販売中。こちらは累計販売数25万本突破の人気商品となっています。
当初の「アーム筆入」開発から受け継がれてきた「ものを大切に使う」という思いは、現在販売されている「metacil」にもしっかりと受け継がれています。時代が変わっても、「丈夫でずっと使用できるもの」を作り続けてきたサンスター文具。これからの商品にもこうご期待です。
(取材・文=弘松メイ)