兵庫県はかねてからドローンの実証実験を進めていることもあり、今後、「空飛ぶクルマ」を社会が受け入れる環境を整え、事業開発に向けた支援も行う。
斎藤知事は、▼離着陸場(ポート)は、尼崎市臨海部の埋め立て地「(※)フェニックス事業用地」(尼崎市東海岸町沖)をはじめ、3か所程度を候補地に選定する。
▼事業開発に向けた支援策として、機材開発会社、運航会社、サービス提供会社が1セットとなり、実証・デモンストレーション飛行などの提案が出され、県が妥当と判断した場合、上限1千万円で補助することを明らかにした。
※日本国際博覧会協会は、万博会場の人工島・夢洲(大阪市此花区)へのアクセス手段として、混雑回避のために原則、マイカーでの乗り入れは認めない方針。特定の場所に最大3千台収容の「会場外駐車場」を設け、そこからシャトルバスで会場に向かう「パークアンドライド(P&R)方式」を進める。尼崎市の「フェニックス事業用地」もその拠点の1つ。
■スカイドライブ 福沢CEO「100年に一度のモビリティ革命、インフラレスな『空飛ぶクルマ』」
スカイドライブ社の福沢知浩・最高経営責任者(CEO)は「関西、とりわけ瀬戸内海一帯は景色も良く、気候も温暖。しかし離島を結ぶアクセスに乏しく、空を使った交通手段は大きな魅力となる」と、兵庫の地域性の特色を踏まえ、万博終了後を見すえた空飛ぶクルマの需要の高さを強調した。
また、「当面は飛行距離10キロを目指し、神戸・ポートアイランド沖や六甲山などの遊覧からスタートしたい。バッテリーの長寿命化と自動運転が進むと、より多くの人が利用できるようになり、兵庫は理想的な空飛ぶクルマの運航デビューの場となる」と話した。
そして、「空飛ぶクルマ」を100年に1度のモビリティ革命と位置付け、航空機としての認証取得を目指していることに触れて、「既存の飛行機やヘリコプターと同じ安全性を持ち、騒音はヘリコプターの3分の1程度。機体の軽さもあり、これまでは不可能だったビルの屋上などからの離発着も実現でき、日常的に空へ飛び立つことができるようになる。そのスタートラインが2025年大阪・関西万博だ」と述べた。
開催まで2年あまりとなった大阪・関西万博。会場への輸送手段について、主に陸路での具体的な方針(アクションプラン)について協議が進む。福沢CEOはラジオ関西の取材に、実用化へのプロセスについて「鉄道や道路などの陸路は、土地の取得段階から相当な時間とコストが必要だが、空路は離発着場所が整備できれば導入しやすい、“インフラレス”な輸送手段だ」と強調した。
■期待高まるスカイドライブ新型機「SD―05」