大阪・フェスティバルホールで2年に1度開催される恒例の狂言会を前に、出演する狂言師の野村萬斎(56)と長男の野村裕基(23)が同ホールで会見、役への思いや演目の魅力などについて語った。
4月23日、同ホールで開かれる公演「祝祭大狂言会2023」には、萬斎の父で人間国宝の野村万作(91)も出演。裕基が「棒縛(ぼうしばり)」、萬斎が「博奕十王(ばくちじゅうおう)」、万作が「奈須与市語(なすのよいちのかたり)」を演じる、豪華3本立てとなっている。
萬斎は「博奕十王」について、「ギャンブラーが地獄に落ち、閻魔(えんま)大王や地獄の鬼どもがサイコロばくちをはじめるという、荒唐無稽な世界」と紹介、「照明を使い、煉獄(れんごく)の炎が立ち上るような豪華な舞台になる。大きなサイコロも出てきて、観客の皆さんにも参加してもらう趣向もあります」と明かした。
「棒縛」は、主人の留守中、縛られた状態の2人が酒を飲むために知恵を絞るストーリーで、狂言の代表的作品の1つ。裕基は「ドタバタ的な展開が見どころ。フェスティバルホールは普段の能楽堂と比べて大きな会場で、高い位置の席もあるので、どこからでも見やすいように意識しながら、基本の芸を忠実にやりたい」と意気込んだ。
「奈須与市語」で万作は約15分に及ぶ語りを聞かせる。萬斎は、「91歳が1人で語る。オペラで言えば独唱でアリアを歌うようなもの。時間感覚、空間感覚を持ちつつ、言葉として意味や状況を伝えるという、狂言の技術の真骨頂。身一本、扇一本で全部を表す究極の芸」と、父への尊敬の念をにじませる。「衰え知らずの父の『奈須』がメインディッシュで、私どもはツマやデザート」と笑う。
狂言師として欠かせないのは健康維持。萬斎によると、父(万作)と祖父(六世野村万蔵)は舞台の後、大量の湯豆腐とタラを食べるのを習慣にしていたそうで、自身も夜はタンパク質や野菜中心の食事を心掛けているという。一方、気分転換は「エゴサーチ。あとはインスタなどを眺めたり、移動の新幹線で富士山を見て心が洗われたり」。
萬斎は、「へこたれない人間が描かれ、『生きているって滑稽だけどいいことだな』と思えるのが狂言の良さ。羽目を外して何でもやってくれる舞台のキャラを自分だと思って笑い飛ばして、生きる力にほだされ、免疫力を高めて帰ってほしい」と㏚した。
◆「祝祭大狂言会2023」
会場:フェスティバルホール(大阪市北区中之島2-3-18)
日時:2023年4月23日(日)15時開演
料金:S席8,000円、A席6,000円、B席4,000円
予約、問い合わせ:フェスティバルホールチケットセンター06-6231-2221
フェスティバルホール公式サイト https://www.festivalhall.jp/