結婚式やお宮参りなど、いわゆる“ハレの日”には着物で出かけるという人も多い。しかし、頻繁に着るというわけではないため「久々に着ようとしたら、シミ汚れが広がっていた」という経験をしたことがある人もいるかもしれない。では、着物を長持ちさせるお手入れとは一体どのようなものなのか。神戸市須磨区の須磨パティオにある呉服店「大福 須磨パティオ店」のスタッフ・久野洋子さんに正しいお手入れ方法を聞いた。
「大福 須磨パティオ店」は昭和9年の創業で、神戸市長田区には大正筋店がある。須磨パティオ店も40年の歴史を誇り、幅広い年齢層に対応できる商品を各種取りそろえる。
「高級呉服だけでなく、着物にかかわる和装小物のほかに、夏は浴衣・甚平、冬には袢天(はんてん)など四季折々の商品がそろいます。数珠・ふくさ・風呂敷などの慶弔小物も豊富に取りそろえています」(久野さん)
着物に関する悩み相談も受けつけているそうで、たとえば、お気に入りの着物にシミができてしまった、という場合にはシミの程度によりさまざまな提案を行う。シミ抜きができない場合にも、シミ汚れをカバーするために色柄を足したり、刺繍や金を乗せるような加工があるという。着物のプロデューサーのような役割を担う“悉皆(しっかい)業者”に依頼して見積もりを行うそうだ。
着物を長持ちさせるためには、着用後に“衿ふき”や“汗抜き”をすることが大事だという。直接肌が触れる長襦袢(ながじゅばん)の半衿(はんえり)には皮脂がつくため、そのままにしておくとシミになってしまう。「着用後は半衿を外し、洗っていただくことをおすすめしております」と久野さん。着用した着物はすぐに畳んで収納せず、和装ハンガーなどに掛けて風通しの良い所で干すのがいいそうだ。
また、保存の際、着物と帯はそれぞれ1枚ずつ和服用の“たとう紙”に包み、高温多湿を避けて保存するのがいいという。ただし、たとう紙の定期的な交換も必要なので注意が必要だ。
そして、ときどきでいいので、晴れている日に着物を収納したタンスの引き出しを開けて風を通すことも大切。タンスには防虫剤や除湿剤を入れることもあるが、数種類の防虫剤を併用すると化学反応を起こし、シミや変色の原因になるのだそう。「風通しの良い場所での保管と、年に1度の虫干しが理想」とのことなので、できていなかったという人は着物を長持ちさせるために意識してみては。
※ラジオ関西『須磨パティオpresents河上幸恵のゆる~くふわっと魔法の時間』2023年2月10日放送回より
◆大福 須磨パティオ店
住所:神戸市須磨区中落合2丁目2-1 須磨パティオ1番館 2F
(神戸市営地下鉄「名谷駅」すぐ)
電話番号:078-792-5781
営業時間:10:00~20:00
定休日:1月1日
※昭和9年創業。振袖、留袖、訪問着、男物の紋付、大島紬からお子様のお宮参り、七五三用品、そして日本の四季折々の着物を豊富に取りそろえる。