廃油再生処理事業を展開する『浜田化学株式会社』(兵庫県尼崎市)。同社は主に食品を扱うコンビニやスーパー・飲食店で揚げ物に使用されたのち廃棄される「廃食用油」の再生処理を行なっている。
今回、関西の朝の顔としてテレビなどで活躍する気象予報士・防災士の正木明がパーソナリティーを務めるラジオ番組に同社取締役営業本部長・桑村安浩さんを迎え、業界の実態や現場の苦悩について話を聞いた。
そもそも廃油再生処理事業の営業とはどんな事をしているのだろうか。
「まず大前提として“安全に廃食用油を回収するサービス”である事をお伝えしています」と桑村さんはいう。また同社の場合は回収した廃食用油のリサイクルを行い、資源として有効活用をしていると説明。日本でもSDGsが推奨される中、業界と消費者双方にとってメリットのある取り組みであるはずなのだが、なかなか社会で理解されない事も多く頭を抱えているという。
「使用済み油をそのまま捨てることは水質汚染の原因だとすでに広く認知されており、“固めて捨てる”もしくは“油の回収事業者出す”ことが処理方法として一般的にチョイスされています。当社も回収業者のひとつではありますが、集めた廃食用油をリサイクルするまでが事業なんですね。リサイクルされた廃食用油は代替燃料や飼料、ハンドソープの原料などの“資源”として多くの用途が生まれます。この部分を、一部の企業からは『廃食用油を資源にするための原材料とするならば、“回収”ではなく“仕入れ”ではないのか?』という声があります。さらに、『資源として商品にするのであれば、廃食用油の回収先には“原材料購入”という形で支払いをするべきなのでは?』と言われたり、回収費の値引き交渉をされたりも」(桑村さん)
廃食用油を、より安全に回収することには多大なコストがかかるという。
「回収した大量の廃食用油を安全に運輸送するためにはドライバーの負担軽減が課題ですので、必ず残業数調整を行います。すると、ドライバー1人あたりの稼働可能な時間が限られるため増員が必要となる。ドライバーが増えれば回収車台数も増やさなければならない。また引火物である油を扱っているため、回収車には事故防止用のドライブレコーダーや接触防止センサー、バックモニターなど設備の強化も必然なのです」(桑村さん)
このように、人件費を含めた諸経費はかなりの額になるという。「この部分をなんとかご理解いただければありがたい」と桑村さんは語った。