およそ40年前のイギリスで、映画館を居場所として互いに寄り添いながら働く人たちの物語。映画『エンパイア・オブ・ライト』が、2月23日(木・祝)全国ロードショーです。
1980年、イギリス。静かな海辺の町マーゲイトにぽつんとたたずむ寂れた映画館「エンパイア劇場」で、マネージャーとして働く中年女性ヒラリー (オリヴィア・コールマン)が主人公です。ヒラリーはひとり暮らしで、気さくに話せる相手はなく、孤独感を抱えています。精神安定剤の欠かせない生活を送っています。
ある日、エンパイア劇場に新しいスタッフが加わります。黒人青年スティーヴン(マイケル・ウォード)です。スティーヴンはいつも明るく前向きで好奇心にあふれていて、ヒラリーは少しずつ心を開きます。
大みそかの夜、ヒラリーは閉館の片付けをしていました。ヒラリーは毎年、劇場の屋上から花火を見上げ、ひとりで新年を迎えていたのですが、そこにスティーヴンが合流したいと言います。
カウントダウンのあと、ヒラリーは思わずスティーヴンに新年のキスをしてしまって慌てます。スティーヴンが優しく微笑みます。
スティーヴンは両親がカリブ海の小さな国から渡ってきた移民2世で、父親が失踪したため母子家庭に育ちました。大学で建築を学びたかったのですが叶いませんでした。進路に悩むスティーヴンにヒラリーが「あきらめないで。自分の人生は自分でつかむのよ」と励まします。
1981年、不況が深刻化し、マーゲイトの町でも暴動が起こりました。仕事に就けない若者たちの不満が人種差別へと向かい、スティーヴンは「生まれた国に帰りな、サル」とののしられます。
スティーヴンは傷つきながらも、ベテラン映写技師のノーマン(トビー・ジョーンズ)から手ほどきを受け、映画の素晴らしさに目覚めます。ヒラリーもスティーヴンと心を通わせ、これまでとは別人のように生き生きとし始めるのですが……。