かつては、数多くの学校の手洗い場に置かれていた「レモン石鹸」。みかんネットに入った黄色いレモンのフォルムを懐かしく思う人は多いのではないでしょうか。製造したのは、大阪で衛生商品の製造販売を行なっている株式会社マックス。レモン石鹸を製造したきっかけや学校に提供した理由について、広報担当の品川さんに話を聞きました。
――開発のきっかけは?
【品川さん】 2代目社長である祖父の時代に開発されました。当時は戦前で薬も少なく、衛生環境も整っていなかったために「手洗い」が健康を保つための大きな役割を担っていました。そこで、「親しみやすく、清潔な衛生管理を普及していこう」という思いから、清潔感があり爽やかな印象を持つレモンをイメージした「レモン石鹸」を開発しました。
――どうして学校に提供していたのでしょうか?
【品川さん】 各学校へは卸企業を通じて導入しており、直接やりとりをしたわけではないので正式な理由はわかりません。ただ、「レモン石鹸を通して清潔な衛生環境を大切にしてほしい」という2代目社長の思いと各学校の需要がマッチしたのだと思います。
――製造後、なにか変化はありましたか?
【品川さん】 明治以前、石鹸は高級品として扱われていたため、人々にとって身近な存在ではありませんでした。その後、日本産の石鹸が普及したのですが、製造を行っていた企業のひとつが弊社でした。商品を通して、子ども世代を含めた多くの人々が持つ衛生管理の意識が変化したかと思います。
その後、バブル期にはお中元・お歳暮の「石鹸入浴剤」も製造するようになりました。一時期は「ギフトのマックス」と呼ばれていたこともあるほど、みなさんに必要とされるような石鹸類の製造もしていました。