昭和の卓上といえば、“花柄のポット”を思い出す方も多いのではないでしょうか。1960年代後半から日本の食卓を彩った花柄のキッチン用品はなぜ流行したのか? さらに、広く知られるようになった経緯について、魔法瓶の歴史やさまざまな花柄商品を展示する、象印マホービン「まほうびん記念館」の館長・杉山一美さんに話を聞きました。
――花柄のデザインが初めて発売されたのはいつなのでしょうか?
【杉山さん】 ナショナル魔法瓶工業から、1967(昭和42)年に初めて花柄の魔法瓶が発売されました。その後すぐに、象印マホービン株式会社でも花柄デザインの魔法瓶の販売が始まりました。
――花柄の商品が増えたきっかけは?
【杉山さん】 当時は高度経済成長期であり、それまで手作りだった魔法瓶は工場で大量生産されるようになりました。大量生産が可能となった背景と魔法瓶が今までにない便利な商品であったこと、さらに花柄デザインの人気によって家庭へと浸透していきました。その後、多くのキッチン商品にも花柄が採用されるようになっていきました。
――人気のあった花柄は?
【杉山さん】 70年代前半に最も人気があったのは「花雲」という青色の下地に花柄をデザインしたものです。ポットや電子ジャーなど、さまざまなキッチンアイテムでシリーズ化されており、この柄で統一して購入するという方が多くいらっしゃいました。
――どのような花柄商品があった?