“着る”タオル? 奈良の小学生愛用「マラソンタオル」とは 製作会社→汗冷え・服汚れ防止のスグレモノ | ラジトピ ラジオ関西トピックス

“着る”タオル? 奈良の小学生愛用「マラソンタオル」とは 製作会社→汗冷え・服汚れ防止のスグレモノ

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「マラソンタオル」なるものをご存知でしょうか? 奈良県の小学校に通っていた人には懐かしいアイテムだそうですが、県外で生まれ育った筆者からすると、なぜ「マラソン」なのか、どこで売っているのかなど謎に満ちています。そこで、オリジナルのマラソンタオルを販売している「井上企画・幡」(本社:奈良市川上町)に話を聞いてみました。

 同社によると、マラソンタオルは、その名の通りマラソンなど運動をする際に使うタオルとのこと。市販のタオルをカットしベストのように着用できるよう改造したもので、服の下に着用すると首や胸まわりの汗を吸収し、運動後にタオルを抜き取れば、汗で服を汚したり身体を冷やすことがないという優れモノなのです。

奈良県や隣県の一部地域では親しまれている「マラソンタオル」(提供=井上企画・幡)

「弊社スタッフは、9割が女性です。また、奈良の小学校に通う子どもを持つ者も多いため、マラソンタオルに触れる機会が多いのです。商品としてマラソンタオルを販売するようになったのも『奈良県ではマラソンタオルが必須だよね!』という話がきっかけでした」(井上企画・幡)

 同社では、県の特産品である「かや」という生地を使ったふきんや服を販売しています。「風通しがよく、肌触りのやさしい“かや”でマラソンタオルを作ったら快適なのでは?」というスタッフの声から、かや製マラソンタオルが生まれました。

「かやマラソンタオル」は、ふわふわ・さらっとした手触りが特徴(井上企画・幡)

 そもそも、奈良では「イオン」など一部のスーパーをのぞくと商品としてマラソンタオルが販売されているケースは珍しいそうです。小学校で使用されるケースがほとんどのため、家庭で自作するのがスタンダードなのだとか。実際に子どもに作った・過去に使っていたという人は同社のスタッフにも多く、さまざまな体験談を聞くことができました。

・娘が小学校に通っていたときは「2枚作って下さい」という連絡が来ました

・息子が幼稚園時代、マラソンタオルを自作し登園の際に着せていました。作り方は園から教わり、近所のママさんと一緒にワイワイしながら作った記憶があります!

・娘の学校では、使うかどうかは個人の自由でした。うちの娘は6年間通して一度も使わず終わりました

・奈良に隣接する京都の精華町の出身ですが、授業で使っていました

……などなど。生まれも育ちも奈良県というスタッフからは「30年ほど前からマラソンタオルを使っていた」という証言も。ちなみに、その当時は切ったタオルを頭からかぶるというごくシンプルなつくりだったそうです。

服の下に前もって着用することで、汗染みや汗による冷えを防止(井上企画・幡)

 マラソンタオルの起源については、女子高等師範学校(現在の奈良女子大学)から広がったという説があるものの、はっきりとしたことは分かっていません。とはいえ奈良ではマラソンに力を入れている小学校が多く、冬季は始業前にマラソンをおこなう「かけあしの時間」を設けているところも。そのような環境なら、マラソンタオルを重宝するようになったとしても不思議ではありません。

「冬の奈良はとにかく寒いので、マラソンタオル使用の風習ができたのかもしれません。子どもの体を冷えから守ることができますし、運動後に着替える手間が省けます。生活の知恵として生まれたのではないでしょうか」(井上企画・幡)

「冬のマラソン」が定番の奈良では、マラソタオルは必須アイテム(イメージ)
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