――どのような人が購入していた?
【山崎さん】 贈答用として購入されることが多かったので、40代以上の方が多かったのではないでしょうか。当時のフランス人形は手に取って遊ぶ子ども向けの人形ではなく、おもにガラスケースなどに入った鑑賞用の人形商品だったので、大人から大人に贈るというのが最も多いパターンでした。リビングのサイドボードやピアノの上、玄関などに置かれていたイメージがあります。
――当時のフランス人形の特徴は?
【山崎さん】 ヨーロッパなどで作られていた骨董品のフランス人形とは異なり、当初、体は布帛(ふはく)という布製の材質で作られていました。その後1970年ごろには大量生産のしやすさ・表情の出しやすさなどの観点から、樹脂製へと変化しました。売り上げピーク時はこの樹脂製が中心でした。
おめでたい贈り物として選ばれていたため、衣装は赤、ピンク、黄色などの派手な色が好まれていました。黒や紺色など、控えめな色の衣装を着た人形もあったのですがあまり売れなかったようです。そして、40~50センチくらいのガラスケースに入っているのが当時のフランス人形の特徴でした。
――フランス人形を製造している会社は多かった?
【山崎さん】 当時は多くの工房や会社で作られていました。各社それぞれのブランド名を使って製造しており、弊社では『リボン印』というブランド名で多くのフランス人形を販売していました。
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昭和に流行したフランス人形の多くは、名古屋を中心に製造が行われていたそう。しかし今では、名古屋でフランス人形の製造を行うのはスキヨ研究所のみとなったのだとか。そんなスキヨ研究所も現在はひな人形を中心に製造を行っているそうですが、今も年に20~30本ほどのフランス人形の製造を続けているといいます。
色鮮やかな衣装を身にまとったフランス人形は見ているだけでも楽しめるため、親族や友人などのプレゼントにいいかもしれません。
(取材・文=濱田象太朗)