今作の監督を務めたのは『百円の恋』や『嘘八百』シリーズの脚本家として知られる足立紳。原作は足立監督が書いた小説『弱虫日記』です。
足立監督は今作の原型となる脚本を20年以上前に書いていて、師匠の相米慎二監督から褒められたそうです。ところが映画化はなかなか実現せず、この脚本を小説として書き直して2019年に出版されました。
主人公の瞬を演じるのは、関西ジャニーズJr.内のグループ「Boys be」で活動する池川侑希弥です。強くて明るい瞬の母親が臼田あさ美、ちょっと頼りない父親は浜野謙太、瞬の親友・隆造の前科持ちの父親が永瀬正敏です。
メインキャストは小学6年の少年を演じる俳優たちで、全員オーディションで選ばれました。小学5年生から中学2年生の7人です。瞬役の池川のほか、人情に厚いリーダー格の隆造は田代輝、トカゲこと戸梶役は白石葵一、正太郎は松藤史恩、西野が岩田奏です。イジメっ子の明が蒼井旬、転校生の小林が坂元愛登です。
彼らは撮影前の2か月間、経験不足を補いチームワークを深めようと、毎週会議室に集まって稽古を重ねたそうです。最初は緊張気味だったということですが、メンバーで台本読みやリハーサルを繰り返していくうちに打ち解けて、冗談を言い合える仲になりました。
瞬役の池川は映画初出演で演技をしたことがほとんどありませんでしたが、親友役の田代ら経験豊富なメンバーの影響もあって徐々に声が出るようになっていきました。
撮影は2022年3月に岐阜県飛騨市で行われました。少年役のキャストたちは、市街地から車で30分ほど離れた山の中で合宿生活をしていたそうです。皆で大浴場に入ったり布団を並べて寝たりする生活でコミュニケーションが深まり、一体感が増していきました。
主演の池川は、臆病な瞬が経験を重ねて成長する物語について「どこか自分にもそういう所があるなと思いながら撮影していました」と明かし、主人公の瞬を演じることで自分自身も成長できたと思っています」と語っています。