ハンカチの角をくわえてギューッと引っ張りながら悔しがるシーン。漫画やアニメなんかでよく見ますが、実際にハンカチをくわえて「悔しい〜!」と言っている人を見たことってあります? 私は見たことがありません。
そもそも、この仕草はいつ・どこで生まれた文化なのか? この謎を解明すべく、まずはどれくらいの方がこの“ハンカチを噛む”仕草を知っているかを調査してみることにしました。
ハンカチをくわえる姿を見てもらい、「これはどんな感情を表現しているように見えますか?」と質問。するとやはり、100パーセントの人が「悔しがってるんでしょ」と回答するほど、皆が知っているリアクションでした。
この認知度を踏まえたうえで、漫画やアニメが始まりなのかなと調べてみたのですが、どうやらもっと昔に生まれたものだということがわかってきました。
「淡路人形座」(兵庫県南あわじ市)で人形遣いをしている吉田廣の助さんに話を聞いてみました。
「人形浄瑠璃でも手ぬぐいや着物の袖をくわえて、悔しさやかなしみに耐える表現をしていますね。だから、江戸時代くらいからされている表現なんじゃないですかね」(吉田さん)
な、なんと、江戸時代から!?
日本を代表する伝統芸能のひとつでもある歌舞伎のなかにも、歯を食いしばりながら手ぬぐいをくわえて悔しがるシーンがあるそう。長年にわたり演じ続けられてきた仕草であることから、言葉にせずとも一目瞭然で悔しさが伝わる独特の演技手法として根づき、現代の漫画やアニメでも使われているのではないでしょうか。
ただ、あくまでも舞台上での演技としての表現方法であることから、日常で見かけることはないということなんでしょうね。
さらによくよく調べてみると、人形浄瑠璃や歌舞伎、日本舞踊の世界でも使用されているこの仕草はまさに、日本生まれ・日本育ちの“日本文化”ってことになるんじゃないでしょうか!?
と、我ながらよい発見のある取材をしたと自負していたのですが……。なにやら新たな情報が入ってきました。そう、スペイン生まれの世界的な画家、パブロ・ピカソの作品『泣く女』を見てみたところ……。