兵庫県立大学の豊岡ジオ・コウノトリキャンパスに通う学生に、JA共済連兵庫から地元産コシヒカリ「コウノトリ育むお米」50キログラムが贈られた。
豊岡市「コウノトリの郷公園」内にある同キャンパスでは、大学院・地域資源マネジメント研究科が置かれ、社会人を含む約40人の学生と10人の専任教員が、地球科学・生態学・人文社会科学の3つの領域の研究を行っている。学生の研究テーマにはコウノトリの生態や生育環境に関するものも多い。
豊岡市が取り組むコウノトリの野生復帰のためには、カエルやドジョウなどエサとなる生き物が育つ環境が不可欠。秋には田んぼに住む生き物のために堆肥(たいひ)や米ぬかなどを散布し、冬も田んぼに水を張って生命を育み、無農薬・減農薬での米づくりを可能にしているのが「コウノトリ育む農法」だ。
「農薬に頼らない強い米づくり」の知恵と工夫を凝らして栽培・収穫されたコシヒカリは、『コウノトリ育むお米』としてブランド化され、「やわらかく粘りが強い」という特長や時間が経っても食味の変化がほとんどないことから人気を集めている。2021年の実績では500ヘクタールの田んぼで作られた1300トンが出荷されたという。
地域資源マネジメント研究科には、「水田魚道の効果」「水田におけるカエルの生息域」「田んぼの水抜きが水生動物に与える影響」といったテーマで、「コウノトリ育む農法」に直接関わる研究をしている学生もいる。豊岡市の郊外にあるキャンパスの周囲は、田んぼと山に囲まれたコウノトリが舞う自然豊かな環境。しかし、飲食店やコンビニがないため、学内で自炊することも多く、コロナ禍や値上げラッシュで、きびしい生活を送っている学生が多い。
このため、JA共済連兵庫は、研究内容にも縁の深い「コウノトリ育むお米」を食べて元気に学生生活を送ってほしいと、学生に50キログラム(2キログラム×25袋)のお米を寄贈することに決めた。3月29日に行われた贈呈式で、JA共済連兵庫の三森京介本部長は「JA共済連では、経営する城崎温泉の旅館がコウノトリの巣塔を立てるなど、地域の環境を守る取り組みを進めている。物価高など苦労の多い生活を送りながら、自然環境や地域資源の活用で地域の活性化に取り組む学生さんに、このお米を食べてさらに学びを深めていただきたい」と話した。