日本フィルより以前に所属していた楽団では、パーカッションの中でも小太鼓の技術が評価されていた福島さん。シンバルの腕前に注目されるようになったのは日本フィルに入団してからだそうです。
「音楽大学での師匠がシンバル界ではかなりの有名人だったこともあり、シンバルに対しては他の打楽器とは違う思いがありました。ありがたいことに著名な指揮者やお客様から『福島のシンバルが良い』とお声をいただけるようになり、徐々にシンバルを担当することが増えていきました。“シンバルのスペシャリスト”と呼ばれることは本当に嬉しい限りです」(福島さん)
“給料について”という、かなりぶしつけな質問にも福島さんはこころよく回答してくれました。
「日本フィルは在団年数や年齢を基本とした固定給です。楽器によってギャラの違いはありません。とはいえ、他の楽器を担当する方から『一発叩くだけなのに僕らと給料が一緒なんて良いね〜』と言われることもありますが(笑)。しかし、その一発が無ければ演奏は成り立ちませんので」(福島さん)
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シンバルを含めた打楽器の奥深さは、まさに“メカラウロコ”。福島さんに教えてもらったことを念頭においてあらためてプロオケの演奏を聴くと、より深く楽しむことができるかもしれません。
(取材・文=宮田智也 / 放送作家)