まずは、できるだけタオルやペーパータオルで水分を取ります。塗工紙は、乾くときにくっつく性質があります。また、家庭で冷凍するだけでは水分の抜けがイマイチのため、濡れてるうちに作業し、きれいな紙をはさんで平らな状態をキープ。乾いてしまうと張り付いたり、シワやカールしたまま固まるため、すぐレスキュー作業できないときの保存として冷凍は有効です。冷凍したものは、紙同士が結構がっちりくっついていましたが、自然解凍すると、めくれるようになりました。
コピー紙をはさみ、上下にもあてて雑誌サンド。はさんだ紙・雑誌を適宜取り替えて、2日で8割方、乾きました。厚みのある冊子だと、かなり日数がかかると思います。8割方の乾燥からアイロンができるか実験したところ、ドライ低温でミラーコートの表面も大丈夫でした。温かいうちに雑誌等にはさんでカールを防ぎました。部分的に少しシワが残りましたが、この方法で無事にレスキューできました」
ーーコーヒーをこぼしたノートを綺麗にする方法は?
「古いシミは難しいかもしれませんが、最近のシミであれば、洗面器に薄めた漂白剤(塩素系)を張って、汚損部分を振り洗いします。洗面器1/3の水に某カビ取り剤15~20プッシュが目安。シミがぬけたら、真水でもう一度振り洗いして、あとは冷凍庫にイン。うっすら残りますが、かなりマシになります。水性インクを使っている場合は流れてしまうので、書いた部分になるべく水がかからないように&短い時間で終わらせます。
漂白剤が濃いと罫線も消えてしまいますので、薄めて使いましょう。水洗いすると、当然ですが水性ペン(ラインマーカー・水性ボールペン等)は流れます。フリクションを使用している場合、冷凍すると消したはずの文字が浮かび上がることがあります。醤油汚れにも応用できます。条件により失敗のリスクもある方法であることを、ご承知おきください」
ーー濡れたときに冷凍するのは、一般的な方法?
「水に濡れた紙の冷凍乾燥は、図書館や考古学でも用いられる手法です。ですので、紙や本を扱う業種ではご存知の方も多いのではないでしょうか。紙についたコーヒーを落とす方法は、Twitter担当者が印刷業だった父親から昔聞いた生活の知恵を、実際に試してみたとのことでした」
今回の反響の大きさについて、大栗紙工の大栗さんに聞いたところ…
ーー今回のツイートの反響については、いかがですか?
「過去一番の反響の大きさでした。昨年8月の『ムスカの手帳』ツイートの記録2.5万いいねを、大幅更新いたしました。弊社では、発達障がい当事者の方向けの、目に優しいノートをオリジナル製造販売しているのですが、ありがたいことにその商品のお問い合わせもたくさんいただき、社内みんなで嬉しいねぇ、と喜んでおります。
水濡れ対策について、リプライ等で大勢の方が『過去の自分に教えたい』と仰っていて、同じようなお困りごとを経験している方がたくさんいるのだなと感じました。『ノートの会社なら、レスキューするより新しいものを買ってもらった方がいいのでは』とのリプライを何件かいただき、言われて初めて『あ、そうか(笑)』と思いました。ノートを作っている会社としては、お手元のノートを大事にしていただけると嬉しいですし、書いてあることが皆さんそれぞれの宝物なので、復旧できるものは助けて使い続けていただきたいです。ノート屋の知恵が役に立って嬉しい反面、役に立つ機会がないことを祈ります」
◆大栗紙工株式会社(HP:https://og-shiko.co.jp/)
大阪市生野区巽北3丁目15番7号
TEL:06-6752-0856
今日の雨でノートを濡らしてしまったら……
冷凍してください!
①表面の水分をタオルでとる(中をめくっちゃダメ)
②ジップロックに入れて口を開けたまま24時間冷凍 ③取り出して軽く振って霜を落とし、ペーパータオルにはさみ雑誌でプレス(1~2日)ドライヤー使うと波打ちます。 pic.twitter.com/qhHNJoT9Qk
— 大栗紙工株式会社@ノートの会社です (@OGUNO_notebook) April 7, 2023
(取材・文=ししまる555)