【中将】 1960年代、1970年代だとまだまだ底知れぬ貧しさが社会に残っていましたからね。話に聞く限り、お客さんの質も悪くてセクハラしたり暴力振るったりというのが日常茶飯事だったようです。
あと、各種調査によると1970(昭和45)年の12万4760人を頂点に、昭和後期のバー、キャバレー、クラブではおおむね10万人前後のホステスさんが働いていました。平成中期に激減し、最近は3万人前後。昭和に水商売の歌が流行した理由がわかりますね。
【橋本】 学生時代、パーティーコンパニオンのアルバイトをしていて、普段はとても働きやすい環境で給仕していたんですが、たまに派遣で特定の年代や職種のパーティーに行くと酔っぱらい方やセクハラがすごくて、「あぁ、昔はこういう飲み方をする人が多かったんだな……」と思いました。
【中将】 つらい環境に置かれているから歌が生まれる……お水歌謡は女のブルースですね。
さて、どんどん曲をご紹介していきましょう。次は二宮ゆき子さんの『まつのき小唄』(1964)。
【橋本】 テンポは明るいけど、この曲も「浮気」というワードが出てきましたね!
【中将】 この曲の場合は、よそのお店に行っちゃう「浮気」かもしれないけど、ともかく女性が待つ側という、「昭和あるある」なシチュエーションですよね。
【橋本】 今の歌詞に比べると、昭和の歌詞はかなり男性が優位ですよね。
【中将】 石川さゆりさんの『津軽海峡・冬景色』(1977)にしても、恋に破れた女性が北国に行っちゃう設定ですよね。今なら「男が行け!」という話になる(笑)。
最後にご紹介する曲も女性が受け身な感じです。小林旭さんで『昔の名前で出ています』(1975)。
【橋本】 ここまで男性を待ってるパターンって本当にあるんですかね(笑)。
【中将】 横浜から京都、神戸とお店を移りながら水商売で働いているらしい女性が主人公ですが、ストリップ嬢でもないのになぜ全国を点々としているのかがよくわかりません。恋に破れて不幸な環境にいるけど、いつまでも男性が迎えに来るのを待っている……男の屈折した願望を濃縮したかのような曲です(笑)。
【橋本】 今ならLINEやSNSですぐ連絡取れちゃうから、前提が成立しにくいですね(笑)。
(※ラジオ関西『中将タカノリ・橋本菜津美の昭和卍パラダイス』2023年4月14日放送回より)
【お知らせ】
ラジオ関西『中将タカノリ・橋本菜津美の昭和卍パラダイス』の名コンビ、中将タカノリと橋本菜津美が、2023年5月10日にキングレコードからデュエット・シングル「夜間飛行~星に抱かれて~」をリリースします。2025年の大阪・関西万博に向け計画中の「空飛ぶタクシー」事業イメージソングに採用。昭和歌謡のメソッドを用いながらも現代的なフィーリングにうったえるダンサブルな“令和歌謡”に仕上がっています。番組やラジトピ記事のファンの方はぜひチェックしてください!