しかし、ほかのおもちゃの進化とともに人気は徐々に下降し、第二次ブームは終わりを迎えました。そこから時代は飛んで2010年代に入り、ホッピングの第三次ブームが訪れることになります。
―――第三次ブームはかなり最近の話だったのですね。ただ、そこまで流行ったという印象はありませんでしたが……。
【安藤さん】 皆さんが幼稚園や保育園で見たようなホッピングがブームとなったわけではありません。第三次ブームでは、“大人のスポーツ”として進化したホッピングが流行したのです。従来のバネではなく、ゴムの力で飛ぶものがアメリカで開発され、名前も「ホッピング」から「フライバー」へと変化。ジャンプ可能な高さが大幅に伸びたことから、子どもではなく大人が遊ぶおもちゃとして流行しました。
―――大人の間で流行したとは意外でした。日本ではどのような状況だったのでしょうか?
【安藤さん】 大人が楽しむホッピングは「エクストリームスポーツ」と呼ばれるようになり、飛ぶ高さやテクニックを競う大会などが行われるようになります。日本にも2010年代に伝わり、当時はテレビなどのメディアでも頻繁に取り上げられていました。
国内にもプロの選手がいますし、今でいう「スケートボード」や「BMX」のようなイメージで、国内の競技人口が一気に増えました。トップ選手にもなると身長よりも高く飛んだり、空中で回転したりなど、これまでのホッピングからは想像もできないような遊びに進化しています。
実はこのフライバーを最初に本格輸入したのが、私たちクリエイティブファクトリーなんです。1本3万円以上、高いものだと9万円近くする商品にもかかわらず、月に数百本レベルで売れるほど日本でも流行しました。
最近では空気圧を利用した新製品も開発され、最高3メートルまで飛べるようになったりと、ホッピングはまだまだ進化を続けています。
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昭和から長く愛されるおもちゃ「ホッピング」。時代ごとに形を変えながら進化し続け、日本では約70年にもわたり人々から親しまれてきました。ホッピングはバランス感覚を養えるだけでなく、全身の筋肉を使うことから大人の運動不足解消にも効果的だそう。子ども時代に思いを馳せながら、進化したホッピングを楽しんでみては?
(取材・文=藤田慶仁)