フランスに実在するシェフをモデルにした社会派ハートフルコメディ。一流フレンチレストランのシェフだった女性が、移民支援施設で暮らす少年たちと少しずつ心を通わせ、人生が変わっていきます。映画『ウィ、シェフ!』が全国ロードショー公開中です。
物語の舞台は、フランス最北端にある港町・ダンケルク。主人公のカティはテレビの料理番組「ザ・コック」で有名なレストランで副料理長(スーシェフ)をしています。カティの夢は独立です。近い将来、自分の店を持とうと開業資金を貯めてきました。
店にはきょうも取材のためテレビ局が来て撮影しています。料理長(シェフ)であるリナの姿勢は“味より見た目”が優先。カティがレシピを考えた一品「ビーツのパイプオルガン」をリナが勝手にアレンジして、2人は大ゲンカになります。
リナ「シェフは私。あなたの代わりは掃いて捨てるほどいる。私の命令は絶対よ。まずピアスを外して」
カティ「結構、辞めるから。三流の勘違いスターには何の用もない」
リナ「ドアは開いてる」
カティ「ブチ壊してでも出てく。私は引っぱりだこよ!」
捨て台詞を吐いてカティは店を飛び出しました。
カティの次の仕事はなかなか見つからず、移民を支援する施設で住み込みの料理人として働く仕事にたどり着きます。この施設では、さまざまな事情を抱えて世界中から集まった少年たちが寮生活を送っています。彼らは18歳までに職業訓練学校に入学できない場合、母国へ強制送還されてしまう仕組みでした。
カティの新しい職場となるこの施設のキッチンは衛生的とは言えないものでした。調理道具も食材もまともなものがありません。
施設長のロレンゾは“食事は質より量”を重視するよう求めていて、カティは不満です。70人分の食事を作らなければならないカティはロレンゾに人手不足を訴えました。するとロレンゾは少年たちに調理アシスタントとして手伝わせるよう提案します。