翌日、施設で暮らす少年たちが厨房へ手伝いにやって来ました。でも彼らは料理の技術は全くの素人、フランス語は不得意です。カティはもともと人づきあいが苦手で一匹狼のように生きてきました。カティの指示は彼らになかなか伝わらず、コミュニケーションがうまくいきません。
カティは料理の素質があるのは誰なのか見極めようと少年たちを食堂に集め、エシャロットの薄切りテストを行います。しかし少年の一人が「女の指示は受けない」と寮を脱走してしまいます……。
フレンチレストランの厨房では、シェフが指示する度に全員が声をそろえて「ウィ、シェフ(Oui, Chef)!」と返事をするのがルールです。意味は「かしこまりました、料理長!」で、木村拓哉主演のドラマ『グランメゾン東京』でもこうした場面がありましたね。
今作『ウィ、シェフ!』は移民大国フランスが抱える深刻な問題を取り上げています。題材となったのは実在するシェフのカトリーヌ・グロージャンが始めた活動です。彼女は移民の子どもたちを調理師として育てて安定した生活ができるよう、取り組んできました。監督はルイ=ジュリアン・プティです。社会派のヒューマンコメディとして描いています。
頑固で生き方の不器用な主人公カティを演じるのは、オドレイ・ラミー。日本でもヒットした『シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション』で知られます。
少年たちを支援する施設長のロレンゾに扮するのは、『最強のふたり』の大富豪役で人気のフランソワ・クリュゼです。
また、自由と平和を求め命がけでフランスへたどり着いた少年たちを演じているのは、実際にパリの移民支援施設で暮らす若者たちなのだそう。
物語はこのあと、カティが調理師を育てる資金を稼ごうと、名店のシェフが料理の腕を競うテレビ番組「ザ・コック」で優勝を目指します。おいしい料理を作る情熱にあふれた主人公と移民の少年たちの表情の変化が、観客の胸を熱くします。笑って泣けて、最後はスカッとする映画『ウィ、シェフ!』はいま公開中。(SJ)