洋画家、佐伯祐三の代表作がそろった大規模な回顧展 大阪中之島美術館 6月25日(日)まで | ラジトピ ラジオ関西トピックス

洋画家、佐伯祐三の代表作がそろった大規模な回顧展 大阪中之島美術館 6月25日(日)まで

LINEで送る

この記事の写真を見る(1枚)

 洋画家、佐伯祐三(1898~1928年)の作品を集めた特別展「佐伯祐三―自画像としての風景」が大阪中之島美術館(大阪市北区)で開かれている。6月25日(日)まで。(※イベントは終了しました)

 渡仏後、本格的に絵を描いたのは4年あまり、30歳で夭逝した佐伯が残した作品の中から、代表作をはじめとする約140点を紹介。大阪、東京、パリそれぞれの地で、佐伯が全身全霊で取り組んだ画業をたどる大規模な回顧展となっている。

 佐伯は現在の大阪市北区中津に生まれた。東京美術学校(東京藝大美術学部の前身)卒業後の1923年、渡仏。パリで下町風景の連作を描き、評価を得る。1926年に一時帰国し、東京や大阪でも風景画を多作。再びパリへ戻り、街の広告文字を題材としたシリーズで独自の作風を確立した。持病の結核が悪化した後も「郵便配達夫」(1928年)などの有名な作品を生み出したが、同年、死去した。

 展示は、佐伯が画家として活動した地「大阪と東京」、「パリ」、パリ郊外の村「ヴィリエ=シュル=モラン」をタイトルに付け、3章で構成。

 佐伯はアトリエを構えていた東京・下落合では、日本家屋が並ぶ昔ながらの住宅地を、大阪では港の滞船を画題に選んだ。特徴的なのは、前者では電柱、後者では帆柱を描き、作品の中に縦線を配した点。その効果について、高柳有紀子学芸員は「画面に垂直方向の明確な線を引くことにより、構図に強さ、すなわち横に広がる風景に対して支えになるものがもたらされた」とみる。

 初めてパリに渡った際、佐伯は画家ヴラマンクから作品について叱責されるが、その後ユトリロ作品と出合ったことで刺激を受け、新たな視点で街の景色を描き始める。次第に、街並みよりも建物そのものに焦点が移り、絵具を厚く塗り重ねる独特の技法で壁を表現するようになる。店の石壁を重厚かつリアルな質感で描いた「コルドヌリ(靴屋)」(1925年)は、同時期の代表的な作品の1つ。

 2度目のパリ時代は、亡くなる前年の1927年に始まる。佐伯の画の中で、街を彩るポスターや広告、とりわけその中の文字が強調されていく。大小さまざまな文字は洒脱で踊っているようにも見え、佐伯の風景画を賑やかに彩っている。

 最晩年、佐伯はパリ郊外の村に20日間ほど泊まり込み、厳しい寒さの中で、教会や民家、丘などを、命を削るようなハイペースで描き続けた。パリでの制作とは異なる、太く力強い線が印象的な「煉瓦焼」(1928年)は、佐伯の新境地が表れた傑作だ。

 高柳学芸員は「佐伯の代表作が一堂に集まっている滅多にない機会。多くの人に足を運んでほしい」と話している。

◆開館1周年記念特別展「佐伯祐三―自画像としての風景」
会場 大阪中之島美術館 〒530-0005 大阪市北区中之島4-3-1
会期 2023年4月15日(土)~6月25日(日)
休館日 月曜
開場時間 10:00~17:00(入場は16:30まで)
観覧料(税込) 一般1800円、高大生1500円、小中生500円
問い合わせ 大阪市総合コールセンター 06-4301-7285

展覧会公式ホームページ https://saeki2023.jp

大阪中之島美術館
LINEで送る

関連記事