阪神などで活躍した元プロ野球選手で、元ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)日本代表の鳥谷敬氏と糸井嘉男氏が、兵庫県淡路市の禅リトリート施設1周年記念イベントに参加。トークセッションのなかで、現役時代のメンタリティーに関する話や、今年3月の第5回WBCで侍ジャパンを世界一に導いた指揮官・栗山英樹氏に関するエピソードなどを語った。
鳥谷氏と糸井氏は、親交の深いフリーアナウンサーの田中大貴氏とともに、総合人材サービス大手のパソナグループが運営する禅リトリート施設「禅坊 靖寧」(ぜんぼう せいねい)で4月28日に行われたイベント「元WBC日本代表鳥谷・糸井×ZEN STAY」に出演した。
アスリートのメンタリティーなどがテーマとなったトークセッションでは、鳥谷氏が「プロ野球選手は毎日が結果(の世界)。精神面のケアが難しい」とコメント。また、「野手はほかの選手に気を遣いがちだが、投手で(他人に)気を遣うのはダメ」と、ポジションによって性格の違いがあることを明かしていた。
鳥谷氏は阪神で、糸井氏はオリックス時代に、それぞれキャプテンを務めるなどチームの牽引役となっていたが、チームをまとめながら個人としての成績向上に努めるという二重の苦労も経験。そこでは、自分の成績を上げることがチームへの貢献につながったことを実感したそう。
糸井氏は自身がキャプテン時代、チームの大不振の渦中にいたこともあり、「ゴールデンウイークまでに(首位と)20ゲームぐらいつけられていた時に、ものすごく責任を感じてつらかった」と、当時を回顧。「(げん担ぎに)道を変えてみたりしたが、最後には『練習した』」と、“練習の虫”ならではのエピソードで会場をわかせた。
一方、トークセッションの中では、今春の第5回WBCに関する話題も。鳥谷氏は「(優勝できたのは)栗山さんが大谷翔平選手やダルビッシュ有選手ら、あのメンバーを呼ぶことができたから」と、指揮官・栗山氏の人心掌握術を絶賛。自身もかつて、阪神からロッテに移籍したとき、「栗山さんから『野球を続けてくれてありがとう』と声を掛けられた」経験を持ち、そのときに「こういう形で人の心をつかむんだ」と感じたという。
日本ハム時代に1シーズン、栗山監督のもとでプレーした糸井氏は、今回のWBCでの印象的な場面に、ダルビッシュ選手が音頭をとってメンバー全員で食事に行ったことを挙げ、「あの雰囲気を出してもよいのは栗山さんだから」と、指揮官の人柄のよさに着目していた。
2人はWBC優勝を目の当たりにして、「若い世代を観ていると日本の野球自体が衰退していくんではないかという危惧を持っていたが、今回のWBCで息を吹き返した。しかもその世代がネットで拡散していた」と鳥谷氏が驚けば、「もう漫画の世界のようで、まさに異次元! ジャパンはええなぁ、うらやましいなぁ……また野球やりたくなった!」と、現役を退いたばかりの糸井氏は再び身体がうずいたようだった。